Nirvanaの”In Bloom”と花粉症、ケツメイシの「さくら」に感じる絶望感

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これを書いているのは2022年3月12日の昼間です。いまはだいぶ暖かくなってきていて春の陽気ですが、個人的にこれまで春がとても苦手でした。僕は花粉症が昔からひどく、だいたい3〜4月は記憶が飛んでいます。今年は、過去の反省をさすがにそろそろ活かそうと、2月中旬には耳鼻科に行って薬をもらい毎日飲んで、鼻スプレーと目薬を朝と夜にさすように心がけています。そのおかげなのか、今のところは記憶が飛ぶほどではなくなっています。早めの予防は大事……。

Nirvanaの”In Bloom”は「発情期」

春といえば真っ先に思い浮かぶのは、Nirvanaの「In Bloom」という曲です。

「In Bloom」は、「花が満開」みたいな意味ですが、Nirvanaのこの曲のタイトルはたぶん「発情期」みたいな意味です。“he likes to shoot his gun”とか、“We can have some more, nature is a whore”というように、性的なイメージの歌詞が並んでいます。「若者の春の発情」を皮肉っぽく歌っているわけです。

トラウマ曲、ケツメイシの「さくら」

「満開」といえば、僕が大学に入学してちょっと後の2005年に、ケツメイシの「さくら」という曲が流行っていました。

個人的にこれがなかなかのトラウマ曲であり、というのも当時は大学がなんなのかあまりよく知らずに入ってしまって、日本の文系大学生独特の「バイトと飲み会がメインで、単位はラクな授業をとるだけで済ませ、やがて就活の時期には急に撫で付けた黒髪になって、名の知れた企業に就職していく」というようなイメージを突然に突きつけられ、そこに非常な絶望感を感じたからです。なんとつまらない人生なのだろう……と。

やがて大学に嫌気がさして地元のマイルドヤンキーの友達と過ごすことが多くなったのですが、結局彼らは彼らで、『ハマータウンの野郎ども』的な、「権威への反抗、労働への服従」的な世界観で、わりと恋愛至上主義(ヤンキー的な世界ってけっこう恋愛至上主義だと思うのですが)でもあったと思います。

ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫)
ハマータウンの野郎ども ─学校への反抗・労働への順応 (ちくま学芸文庫)

ケツメイシの「さくら」のPVにはそういう世界観が集約的に表現されています。今は真っ当に就職してしまった主人公(萩原聖人)が、学生時代に映画作りとかをしていて、それで知り合った女の子(鈴木えみ)との思い出を振り返る、みたいな感じのストーリー。

ケツメイシといえばマイルドヤンキーの代名詞的なアーティストです。でも実は、それと対照的なはずの文化系若者の映画のはずの『花束みたいな恋をした』と、「さくら」の世界観は実はほぼ同じです。つまり、『花恋』は文化系映画ではなくマイルドヤンキー映画であると言えるのではないか……。

花束みたいな恋をした
東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った山音 麦と八谷 絹。好きな音楽や映画が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。近所にお気に入りのパン屋を見つけて、拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店しても、スマスマが最終回を迎えても、日々の...

僕はそういう世界観に当時、出口のなさを感じて、明治期に煩悶自殺した藤村操のごとく、厭世観がどんどん高まっていました。(ちなみに藤村操のことは「文化系のための野球入門」の「文化系vs.体育会系の対立は「華厳の滝」から始まった? 20世紀初頭に現れた若者文化のクロスロード」に書きました)

いま思うと、そのときに自分に見えている世界に絶望するのではなく、自分で枠組みを新しく考える能力や、そのために行動するということが足りなかったかなと思います。

僕は高校生のときはほとんど勉強などしていなかったので自分が受験エリートかというと若干違和感があるのですが、結局高校3年生の最後には受験勉強はしっかりやったので「受験脳」になってしまっていたと思います。受験脳というのは、「どの塾のどの先生に習えばいいか」「◯◯大学に受かるには××という勉強をすればいいか」という「正解」に「いかに効率的にたどり着くか」――要は結局、情報力勝負でしかないところがあります。そうではなく、自分の「こうありたい」という姿を考えて、それが今は無理なら世界を作り変える、みたいな発想力と実践の積み上げが必要だったなぁ、などと思うのです。

“In Bloom”に対する解決策

“In Bloom”は「発情期」、つまり春の時期の若い男女の性欲の高まりみたいなことをアイロニカルに描き出しているわけですが、花粉も「杉の発情」であって、自分の身体はそういう”In Bloom”にアレルギー反応が出てしまうため、春の季節は記憶が飛びがちです。おまけに大学に入ってからしばらくのメンタルの病みも思い出されて、春はいつも憂鬱な気持ちになります。

なので対策としては、「早めに耳鼻科に行く」ということがまず第一なのかなと思いました(当たり前)。花粉症をできるだけ抑えれば、「外の世界の発情にアレルギー反応が出る」とか「大学前半期の厭世観がフラッシュバックする」みたいなこともなくなるのかなと。

マメに薬を飲み、アレルギー反応を引き出すヒスタミンに関連する食べ物はあんまり食べない。そして「さくら」や『花束みたいな恋をした』的な「In Bloom=発情」コンテンツに対して批評的に厳しい態度をとる、というふうに対策をしようと思います。

最近の仕事の状況

軽く書くだけのつもりでしたが、本来はこのエントリーは最近の状況について書くのをメインにするつもりだったので、ここからはそっちを書きます。

11月くらいから、「文化系のための野球入門」執筆に専念しようと他の仕事をかなり減らしました。実は、昨年末に会社を退職して以降、失業保険はもらっていなかったのですが、貰えるもんは貰っとこうとハロワで手続きをして受給し、ちゃんとリーガルに収入も抑えられるように、仕事もあまりしませんでした。

ただもう給付期間も終わって、ちゃんと仕事をしないといけないので、ちょっと仕事も再開しています。

最近で、言えるやつでいえば、「ダ・ヴィンチ」で連載中の、編集者の佐渡島庸平さんの書評連載「今月の企画力大賞」ページの担当ライターをしています。先月号は橋本治の遺作『人工島戦記』を取り上げましたが、今月の本は『続 日本の小さな本屋さん』です。「ダ・ヴィンチ」は、dマガジンやKindle Unlimitedでも読めます。表紙の中村倫也さんが目印です。

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あとTarzan Webで、Webオリジナル企画として年明けにポケモンGOのナイアンティック社副社長の川島さんのインタビューを出しました(前編:『ポケモンGO』『ピクミン ブルーム』は、なぜユーザーを「歩かせる」のか:川島優志インタビュー、後編:テクノロジーが「怠け者」を生むなかで、自分の身体とどう向き合うか:川島優志インタビュー)。実は今後も、スポーツ×テクノロジーみたいな、本誌ではちょっと扱いにくい変わり種企画をやっていく予定で、ひとまず来週にとある著名人(しかもちょっと驚くべき人選)にインタビューした記事がTarzan Webで出ます。

そのあたり、生きるために必要な仕事をちょっとしつつ、メインでは「文化系のための野球入門」の執筆をしており、再来週(3/21の週)にPLANETSで2本、新しい記事が公開されます。

「文化系のための野球入門」執筆の進め方の方針

この「文化系のための野球入門」が正直、当初よりもかなりズレ込んでいて、編集者からも「まずは、できた分からどんどん送ってください」みたいに言われています。なので書籍としての発売時期は未定になりました。個人的には今月中ぐらいにフィニッシュしたいという思いです。なぜかというとそれ以上長引かせると生きるための資金が不足するから……。

で、ちょっと前まで、この執筆が終わった後の計画もいろいろ立てていたのですが、そういうことやっているから執筆が進まないのではないか、と思いました。なので一旦、先のことは考えずに、この3月いっぱいはこちらに集中したいと思います。

いまの「文化系のための野球入門」は基本的に編年体、つまりできるだけ起こったこと順に書いていって、それをベースに、ところどころ紀伝体を挟む、みたいな構成にしています。

野球史に関する裏付けの資料はほとんど読み終わっているとは思うので、ここからちょっと〈ビッグヒストリー的な味付け〉をして独自性を出したいというのがあります。というのも僕は野球史やスポーツ史に特別に関心があるというよりも、政治史・文化史・社会史を絡めて批評的に書く、というところに関心があるからです。なのでここで少し、ビッグヒストリー的な味付けをするために必要だと思ってピックアップしてある文献を5〜6冊読む、それを読む時間をGoogleカレンダーにきちんと入れてこなす、というのをタスクとして課したいと思います。

執筆のための生活の整え

執筆はとても重要ですが、執筆だけをしていて野球をしないと死ぬ体なので、野球もある程度はしたいと思います。ちょうど今週末は試合がないので、新宿の家を空けて、横浜の青葉台にある実家で過ごしています。ところどころテレカンなども差し込まれてきて、僕は背景をバーチャルにするのがあまり好きでないのですが、打ち合わせ相手から「オシャレな家ですね〜」と突っ込まれます。絵とか飾ってあるオシャレな家なのは、横浜の実家です。

というのも、ご飯を作るのがとても面倒で、実家にそのへんを説明したら「ご飯の世話はしてあげるから実家に滞在して書いてもよい」と言われたのでそうしています。とりあえず、実家にいる間は、掃除とか洗い物を食洗機に入れるとかしています。打ち合わせなどで相手から「ふだんと部屋違くない?」と突っ込まれたら「最近、二拠点居住してるんです」と答えようと思います。実家を拠点に数える、という。

住むところと移動手段を考える

でも横浜の家で過ごしていると、広いし快適なので、住むところをちょっと考えてしまいます。青葉台の実家の近くの物件を探したら、6万5000円で1LDK、40平米とかがあるんですよね。そこは実家の近くなので昔から知っている、築50年ぐらいのマンションですが、交渉次第である程度の改造はできるだろうな……とか思ってしまい。

コロナもあって、会社員でもないし、新宿に住んでいる必然性がそんなにあるわけでもないです。ただ今の新宿の家は、新宿中央図書館に徒歩で行けて、戸山公園・西戸山公園という野球の練習ができる場所もすぐそばで、実は永田町の国会図書館にバス1本で行けるという、そういう意味の便利さはあります。新宿だと、たまにある飲み会のときも便利だし、だいたいの映画も見れるのもいいです。でも家賃は9万円……(僕は鉄筋コンクリート、1K、8畳、バストイレ別、独立洗面台、3階南向きという条件のよいところに住んでいるのですが、それで新宿で9万は正直けっこう安いです。毎日suumoをチェックすることによって新着で見つけて申し込みをしました)。

ただ、ちょっと思い当たったのが、自分は便利なところに住んでいながらわりと出不精で、それは自転車がママチャリだからなのかもしれない、ということでした。ママチャリは基本的に半径2キロ以内を買い物とかで移動するための乗り物で、街乗りで2キロ以上の移動をしようと思うとけっこう重い。本当は、5キロ以上行けるとけっこう便利です。

なので前から電動スポーツバイクの購入を考えているのですが、ここまで考えて、結局それは執筆が終わってから考えるべきことなのかなと思いました。なのでこれを書き終わったこれから執筆作業をまた再開したいと思います……。

(了)

※アイキャッチは、実家用に買った姪用のサッカーボールです。実家は母(自分の姉)が美術教師、同居する祖父(父)・祖母(母)がアーティストということでゴリゴリの文化系の家庭なのですが、じっとしているのが苦手な子でもあるのと、最近話しているとどうもサッカーに興味を持っているっぽいので僕がAmazonで買いました。小さい頃にチームスポーツに親しんでスポーツの楽しさを体感しておくと、大人になってからの心身の充実や健康につながる、男の子を恐れなくなるというのはあると思うので。まずは基本となる「止めて蹴る」、インサイドキック、左足でもボールを扱えるようにする、などを教えてみています。小学校の体育でサッカーの試合もするみたいなので、「試合ではトーキックをどんどん使うと点決められるよ」とか、「たまにはアウトサイドも使えるといいよ」というブラジル的な裏技も教えています。

編集者、ライター。1986年生まれ。神奈川県出身。一橋大学社会学部卒、同大学院社会学研究科修士課程中退。雑誌、Webメディア、PRコンテンツ等の制作を経験し、2021年からるろうにとなりました。PLANETSで「文化系のための野球入門」を連載中です。
Twitter ⇒ @yutorination
Facebook ⇒ keinakano21

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