ストーンズ展に行ってきました。

ストーンズ展で展示されていた巨大ヘッドフォン カルチャー

ストーンズ展で展示されていた巨大ヘッドフォン

五反田でやっている「ローリング・ストーンズ展」に行ってきました。やっぱりインプットはいいもので、こういうのを観るといろいろなアイデアが浮かぶもんですね。

 

最近の日本の文化状況ではアニメやアイドルなどが強く、一番虐げられているのは「メタルおじさん」で、その次くらいに「洋楽ロックおじさん」が来るのではないかと思うわけであります。

ざっくりと展示内容を紹介

全編撮影OKらしいので、写真を載せていきます。

入るといろんなオブジェがあります。

無駄に力入ってる。うん。

結成当初の部屋

結成当初、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズらが一緒に住んでいたフラットを再現した部屋。きたない。

 

でもこういう乱雑で、だけどモノが意外と少ないほうがいいのかもしれません。

あとイギリスもアメリカもそうですけど部屋の面積が広いですよね。我が家は8畳で、これでも新宿近辺だったら広いほうなのですが、狭いからきれいにせざるをえないと思うんです。

「もっと広い部屋で乱雑に住みたい」と感じました。

 

ポスターのデザイン

昔のポスターってデザインが参考になりますよね。ってかこの映画(?)、よく見るとストーンズに加えてジェームス・ブラウン、シュープリームス、ビーチ・ボーイズ、チャック・ベリーに、マーヴィン・ゲイとスモーキー・ロビンソンまでいる。今の感覚からすると豪華すぎる。何なの? 死ぬの?

 

こういう日常的な風景をうまく使ったポスターとか作りたいですね。

 

なぜキース・リチャーズはミック・ジャガーの肩に腕を乗せているのか。意味がわかりませんがなんかかっこいいポージングです。僕はこういうのを見ると笑ってしまうんですが、こういうのって諧謔精神(ユーモア)だと思うんですね。「こういうポーズしとけばロックスターっぽいだろう」という考えなんじゃないかと。

 

アルバム『ベガーズ・バンケット』(1968年)のポスター。

 

古城を背景に、カジュアルなスタイルで撮る。こういうのもいいですね。

 

こちらは『山羊の頭のスープ』(1973年)のポスター。あの、女の人がストッキングかぶってるジャケットじゃなくて、ポスターは英題そのままのやつがあったんですね。なかなかグラフィカル。

『ベガーズ・バンケット』収録の代表曲「悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)」とかもそうですが、山羊=悪魔のイメージで、彼らは不謹慎なものが好きなんですよね。さらに余談ですが、ちょっとまえにプライマル・スクリームの90年代の名盤『スクリーマデリカ』を久々に聴いてたら、雰囲気がまんま「Sympathy For The Devil」なんですよ。「Movin’on UP」とか「Loaded」とか特に。ストーンズどんだけ先取りしてたんだよと。

 

これはオーストラリアツアーのポスターで、

 

こっちはニュージーランドツアーのポスター。

どちらも、「現地のファンを喜ばせたい」という気持ちが表現されててすばらしいです。

 

そしてこれはヨーロッパツアーのポスター。

「ヨーロッパ」の象徴にマッターホルンを選ぶセンスって素晴らしくないですか? 政治性の解釈がセンスがめっちゃいい。ロンドンの時計台もパリの凱旋門もだめでしょう。価値中立的なスイスとイメージ的に結びついているマッターホルンしかない。かっけー。

 

こちらはアメリカツアー。微妙にアメリカのことバカにしてる感じが良い。でもストーンズファンは洒落のわかる人だから、アメリカのファンはこういうのも怒らないだろうし、むしろ「ウケるwwww」って感じなんだろうなぁ。

 

おいやめろ。ストーンズはあの有名なベロのロゴもそうですけど、まずひとつは「何にでも舌を出す」ナメた感じ、風刺、アイロニー。 そしてふたつめは、舌って「セックス」を想起させるものなんですよね。このポスターも、ハロウィンの「トリック・オア・トリート!」に寄せてメンバーをかわいらしく子供にデフォルメしてるのに、迎える女性が女王様ですからね。

 

やっぱり宇宙だよな。これからは宇宙。

 

クリエイターとしてのマインド

クリエイターであればそれは当たり前なんだ。楽しいことやってたらワークライフバランスとか権利とか気にならなくなってくる……。

でも休むのも大事だ。そしてクリエイターがもっとお金貰えるようになるように、一緒に仕組みをつくっていこうぜという気持ち。

 

ジャケットのデザイン

これは有名な『ベガーズ・バンケット』のジャケットですが、実際はこのデザインはレコード会社からダメ出しが入って、結婚式の招待状みたいな無難なデザインにされて発売されたらしいです。知らんかった。

 

はいはい来ました。アンディ・ウォーホルのデザインした『スティッキー・フィンガーズ』(1971年)のジャケットで、実際にジッパーがついてます。開けるとブリーフ一枚の男性の下半身が出てくる。

ブチャラティのスタンドじゃねぇぞ! ストーンズのこのアルバム名が元ネタなの。

 

アホかな? いや、アホなんです彼らは。ロック=かっこいい、ではなくもともとはアホなんだと思います。今の日本でいうならゴールデンボンバーみたいな感じだと思うんですね。でも日本の雑誌業界がそこのアホさをちゃんと翻訳しなかったことで、間違ったイメージがついちゃった。

 

これは『山羊の頭のスープ』のやつ。完全に笑いを取りにいってるでしょうこれは。

 

1990年の日本公演のポスター。右下に小さく「すべてのロックファンは、ストーンズファンでもある」というコピーが。いやまぁ悪いコピーじゃないと思うけど、ロックンロールはなによりも自由を重んじるからなぁ。そういうことじゃない気がする。NO 抑圧、YES 自由。

 

キース・リチャーズが美しすぎる件

僕、たまにこういうこと言うせいで、「ゲイなの?」という声を一部からいただくんですね。違います。でも、わざわざそんなこと言わないといけない世の中がPoisonだなぁと。男女にかかわらず美しいものが好きなんす。

 

これとかやばくないですか? たぶんオフショットだと思うんですが。いい瞬間を捉えるなぁと思うわけです。

 

ストーンズの写真を撮影している有賀幹夫さんの作品、めちゃめちゃかっこいい。ありがとうございます。

 

ストーンズ展に行って思ったこと

本当にざっくりですが、まとめです。

まずひとつめは、ビートルズもまあそうなんですが、ストーンズのポップカルチャーに与えた影響は計り知れないということ。音楽だけじゃなく、ジャケットやポスターのデザイン、衣装、ステージ設計。すべてがアートでありエンターテイメントになっている。学べることはむちゃんこ多い。

とにかくひとつひとつのプロダクトのセンスがめっちゃいい。で、展示にはいろんなデザインの成り立ちが書いてましたが、ほとんどがミックやキースをはじめとしたメンバーの着想なんですよね。彼らは音楽の専門家ですが、さまざまなデザインの「企画」をして、それをデザイナーや設計の人たちに頼んで作ってもらっている。だからなにか、ストーンズにはいつの時代も統一的な世界観のようなものがある。

アイデアラフや歌詞ノートなども展示されていましたが、はじまりはだいたい「言葉で表されたアイデア」なんですね。そこの組み合わせがエキサイトメントを生む。

やっぱり企画の根本は、アイデアと言葉。そこの価値は、はっきりと目に見えないけど本当に大きなものがあると思ったのでした。

そしてふたつめ。「ロック」もしくは「ロックンロール」というものがすっかり手垢がつき、「ロックおやじ」のような蔑称も生まれていますが、(ファインアートではない)20世紀以降のポップカルチャーには最大といってもいいほどの影響を与えている。そこの価値を、もっと見直していってもいいのではないか。そんなことを思いました。

そして何よりも「かっこいい」ももちろん大事なのですが、「アホだ」と言われるような諧謔精神=ユーモアの心、自由への志向、「なんかバカなことやろうぜ!」みたいな部分が、表現の根幹としてすごく大事なんじゃないか、ということも思うわけです。

(了)

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