書籍編集に関する学びを得たのでメモしておく

アイデア

いま書籍編集の最終仕上げをしているのですが、ここ1〜2年で3冊の書籍のライティングや編集に関わってみて学んだことを書いておきます。

前段として、僕はこれまでPLANETS関連で書籍制作には数多く関わってはいるのですが、そのときはなにかしら先輩的な人がついていてくれました。自分の作業量そのものは非常に多かったのですが、最終的なコンセプトのブラッシュアップや、カバーのデザインディレクションなどはその人たちがやることが多かったのです。

で、いま自分はフリーでやっていて、書籍に関わるときに、最終決定の部分の精度が低かったということを、改めて感じました。平日毎日更新のメルマガのデスク業務や、土日祝関係なく毎日更新のオウンドメディアの編集長業務もやったので、書籍の最終仕上げ的な部分もちゃんとできるように思っていたのですが、そんなこともなかったなと。

メルマガやオウンドメディアは、雑誌のようなものなので、そこまでものすごくコンセプト集約ができていないといけないわけでもなかったのです。しかし書籍は遅くともリリースまでにコンセプト集約ができていないといけない。後戻りしたり、後から改修できないので、決断力がより必要とされるわけです。

で、決断するためには膨大な情報量が必要で、それを収集することがすごく大事だと思うわけです。

情報収集というのは、類似した企画をチェックしたりすることは当然やるとして、それだけではない、まだパッケージ化・文字化ないし言語化されていない膨大な情報を集めるということ。それは、実際に対象となる人とたくさん話す、コミュニケーションをとることはもちろん、現場があればきちんと現地を訪れて(たとえコンテンツ化しないとしても)取材をするとか、いろんな書店を訪れて棚やそこにいる人、書店員さん、お店の雰囲気を観察してみるとか、そういう「お金にならない」取材活動、情報収集活動、それと関係者外の人にアイデアを話してみるとか、別の手段でのコミュニケーションをとって情報を集める、というようなことまで含みます。

もちろん対象となる人とリモートでコミュニケーションをとって取材することも可能なのですが、その場合はとにかく量と接触頻度、情報交換の質の高さが必要です。逆に、「現場の空気感に触れてみる」みたいなことのほうが、一見時間もお金もかかるように思えて、効率的だったりすることもある。

今は書籍の制作もリモートで完結してしまうことも多いと思います。ところが、当たり前かもしれないけれど、それだけではいいものはできない。コミュニケーションの量や頻度を増やす、ないし質を高めるという工夫が必要になるし、そもそも業務にカウントされない情報収集活動も意識的に行ったほうがいい、ということです。

僕は特にデジタル世代の始まりのような年代なので、コスパやタイパをどうも意識してしまうクセがあるようです。しかし、コスパやタイパを度外視した活動をもっとしておかないと、最終的にいいものができないし、いいものができないと売れないまたはお金を稼げない、レバレッジが効かない、そういうところがあるように思いました。

ひとつ鍵になるのは、画面の外に出る、ということなのかなと思います。矛盾するようですが、リモートでコミュニケーションの量や接触頻度を増やしかつ質を高めるのも、ある意味では「画面の外に出る」にカウントしてもいいかもしれない。

やっぱり甘えてはダメですね。そこで気を抜いているとあとで負荷が何倍にもなったりする。だから、あらかじめできることはやっておくことが必要だなと。今回はそんな感じです。(了)

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