TwitterとかFacebookで「URLシェア」するとインプレッション下がる問題

インターネット

ここ数年、「TwitterやFacebookで、外部サイトへのリンクを貼ると投稿そのもののインプレッションが下がる」ということがWebマーケ界隈では言われてきた。SNSプラットフォーマーのアルゴリズムで、リンク付き投稿は表示の優先度が下げられてしまうのである。

これはなぜかというと、SNSプラットフォーマーからすれば、自社サービス内を回遊してほしい(ユーザーの滞在時間を長くしたい)のに、外部サイトへ離脱されてしまうと困るからである。

こうしたWebサービスのプラットフォーマーの事情については、僕が取材した、『ポケモンGO』『ピクミン ブルーム』を開発している米ナイアンティック社の川島優志氏へのインタビューでも語られている。

川島優志さん(以下、川島さん):どの企業も「できるだけ自分たちのサービスを継続的に使ってほしい」と願ってはいるんですよね。例えばレストランも、お客さんに何回もリピートしてお店に来てほしいわけで、そこはどんな企業も変わらないと思います。

(中略)

川島さん:あとは、どこに主たる目標を置くか、が鍵なんですよね。企業として利益を追求する上ではどうしても「より長い時間、人々の興味を惹いて、そのサービスに滞在してもらう」ということを考えざるを得ない、というところはあります。

編集部:社内でサービスを評価する際に「滞在時間」が数値目標として設定されがちで、「じゃあ滞在時間を長くするためにはどんな工夫をすればいいか」ということでサービスが進化していった結果、今のような状況になってきている、と。

川島さん:そうですね。もっとも今のアメリカではその弊害に対して企業が自助努力をするのには限界があるので、政府が規制をしたり、社会が規制をする様々なアプローチを求めて運動している人もいますし、そういった声も上がってきていますよね。

テクノロジーが「怠け者」を生むなかで、自分の身体とどう向き合うか:川島優志インタビュー【後編】 | Tarzan Web(ターザンウェブ)

まあ事情としてはよくわかる。

僕もそうなのだが、SNSで告知をおこなう際に、最初の投稿にリンクを貼らずに、代わりに遷移先の記事などのスクショを添付する、というやり方をしたりする。

以前は、「サービス内回遊ができず遷移先への移動で読み込みに時間がかかるというのはユーザビリティを下げる行為だから、アルゴリズムで下げられるのは仕方ない。せめてスクショで試し読み機能をもたせよう」みたいなふうに考えていた。

ところが最近、川島さんの意見を受けて、より俯瞰的に考えてみると、それはWebサービスプラットフォーマーの都合であり、彼らの環境管理型権力に従わされているだけなのではないか? と思うようになってきた。

そもそもユーザビリティという意味では、一つの投稿にURLまでまとまっているほうがわかりやすいだろう。ユーザーは試し読みのスクショなんて読まないだろうし、「リンクはコメント欄から!」などと言っているのはわかりづらい。

そもそも告知であったとしても、私たちユーザーの側は、プラットフォームにコンテンツを提供しているわけなのだから、そこで「外部サイトに離脱されるから」といって優先度を下げられるアルゴリズムに従わされるいわれはない。

だったらインプレッションが下がるとしても普通にURLを貼ったって別にいいのではないかと思う。

それに、わざわざスクショを貼っているというのは何か不自然である。それは上記のような知識があるからやっているわけだけれど、なんかビジネスの匂いを感じるところもあって、そう書いてみるとなかなか恥ずかしいことでもある。ハックみたいなことをやらずに、普通にやればええやん。

とはいえ……ということもある。

基本的に、なにかしらの画像を貼るというのは、著作権法上の引用要件を満たしていれば自分のコンテンツでなくてもそこまで問題はないだろう(ややグレーである可能性はあると思うが)。

たぶん、丁寧にやるのであれば、今のところこんな感じが落とし所だと思う。

<告知文>
▼記事本文はこちらへ
<リンク>
+添付画像(OGPではなく直接画像を添付する/遷移先のスクショではなく横長イメージのアイキャッチ等)

これであれば、サービス内回遊と、ユーザビリティ(投稿を見る人に対するわかりやすさ。「記事本文はこちらへ」と書いてあれば、そのURLをクリックしないと外部サイトに飛べないということが明示できるはず)を共存させられるのではないかと思う。

倫理的であること、社会的であること、そのあたりを勘案すると、そんな感じではないか。

なお、異論は認めます。

(了)

編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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