不眠症を治すためにやったこと14選

生活

5〜6年前、20代後半ぐらいのときはガチで不眠症だった。今はガーガー寝ている。ここ数年の試行錯誤で何をどうすればいいかがだいたいわかってきた。振り返りもかねて、これまでに工夫してみたことをざっくりまとめてみたい。

不眠の原因

これは仕事のストレス、人間関係のストレス、将来の不安など、わりと素朴にメンタル面の問題だった。あるとき、某出版社に勤めていた年上の編集者にやや真面目に相談してみたところ、「水泳とかするといいんじゃない?」とけっこうライトに言われた。当時の僕は「いや、そういうことじゃない!」と思ったのだが、数年経って思うのが、このアドバイスはわりと正しい。当人が深刻な悩みだと思っているものに、シンプルすぎるアドバイスが飛んでくると瞬間的に反発してしまうのかな、とも思う。

不眠を治すために、効果はわからないけどやったこと

ここからは時系列もたぶんバラバラだが、やったことを列挙していこうと思う。ちなみに今思うと、睡眠外来にかかればよかったような気もする。医者が当たりであれば、この記事の後半で出てくる内容をさっさと提案してくれるだろう。この記事では「これは実はあんまりよくなかったかも」ということまで含めて書いていきたい。

①遮光カーテンを買う

当時は思いっきり夜型だった。そのときに使っていたカーテンはやや透け感が強く、夜遅くまで仕事をして昼近くまで寝ると、午前中寝ている間に部屋が明るくなり、そのせいで快眠できなかったので遮光カーテンが必要だと考えたのだった。遮光カーテンは、ニトリで検索すれば安く買える。

ちなみに今思うと、この方法はかなり対症療法的である。そもそも夜型だから不眠症になるというところがある。今はなるべく朝型にしていて、朝起きようというときに部屋が暗すぎるので、朝型の人間に遮光カーテンはそこまで向かない。ただ、夜型の人間が「快眠する」ということを目指すのならいいと思う。

②夜、少量の酒を飲む

これはなにかの本に書いてあったことだ。ビール1缶ぐらいなら、睡眠導入剤的に使える。今思うのは、上記の遮光カーテンと同様、対症療法としてはダメではないが、根本解決にはならない。酒を飲むと入眠はできるが、眠りが浅くなってしまって睡眠の体力回復効果が薄れるのだ。今は、たまに夜、少量程度の酒を飲むことはあるが、多いときで週に2〜3回程度にしていて、1缶以上の量は飲まないようにしている。睡眠の心地よさをちゃんと楽しみたい、というのが理由だ。あと、タバコもなるべく22時以降には吸わないようにする。タバコを吸うとドーパミンが出て脳が興奮状態に持っていかれるためだ。基本的に何でもそうなのだが、脳を興奮状態にしてしまうと、寝付きが悪くなってしまう。

③ちゃんとした会社に入社する

ちゃんとした会社というと語弊があるが、もともと仕事を始めたときからフリーランス的なスタイルがOKなところで働いていた。それを、30歳を過ぎてから出社義務のある会社に入った。10時始業なので、遅くとも9時には起きていなければならない。すると夜2時には寝ていないといけないので、夜3時半とか4時まで仕事をするということが物理的に不可能になった。

また、会社に入ってよかったのが、昼間しっかり仕事をし、夜は同僚と飲みに行くというサラリーマン的な生活スタイルが「逆に」身につき始めたことだ。オンとオフの切り替えの練習になる。フリーランスしかやってないとオンとオフの切り替えが身につかずダラダラ長時間仕事してしまうところがある。ちなみに、人間関係さえある程度よければ、サラリーマンの仕事後の飲み会は精神衛生にも意外と良いというのは発見だった。

たぶん効果があったこと

ここまでは今思うと、「効果あったのかな? そんなに関係ないかもしれない……」ということを挙げてきた。上記の3つは効果はなくはないけど、決定打ではないと思う。そこでここからは「たぶん効果があったっぽい」と思えることを挙げていく。

④定期的に運動せざるをえない環境に入っていく

28歳ぐらいのときから草野球チームに入って活動するようになった。もともと大学まで野球をやっていて学生野球でひとしきり野球が嫌いになった……という話は別の機会があれば書きたいが、ともかく「運動する」ということを始めたわけである。特に、ある程度運営がきちんとしている草野球チームは先々までスケジュールが決まっているので、少なくとも月に1〜2回は運動することになる。

⑤スポーツの練習をする

20代後半になってくると、意図的に運動する機会を作らないと運動機能がどんどん落ちていく。野球の試合に出る以上はある程度活躍したいので、「トレーニングしなきゃ」という気持ちに、自動的になっていく。そもそも運動習慣というのは「健康になりたい」という雑駁な目標設定では、なかなか継続できないものだ。しかし「野球の試合で活躍したいなぁ」となったら、ちょっとだけ目標が具体的になるので継続しやすい。

⑥ウエイトトレーニングを始めた

真っ先に思い浮かぶのはここ数年ブームのウエイトトレーニングである。最初は近所の公営スポーツセンターに行っていたが、数が限られているウエイトゾーンが混むのが嫌なのと、風呂があるので途中からスポーツジムに入会した。月額15000円。なかなか高いが、エンタメだと思って入り、ウエイトをやり始めた。

⑦ヨガを始めた

ウエイトをやっていると普通に体が疲れる。当たり前だけど。そして、野球の試合においてはウエイトだけして筋肉だけ付けてもあまり意味がない。そこで柔軟性をつけようと、ヨガの入門書を買って、ときどきヨガをするようになった。ちなみにヨガは、快眠という意味ではかなり効果がある。ウエイトだけやっていると節々が痛み、逆に疲れて活動的でなくなったりする。ヨガは、別にヨガ教室に通う必要はなく、入門書とヨガマットさえあれば家とかベッドの上でやれば良い。ポーズをいろいろ試してみて、好きなポーズ、面白い動きだと思うものを継続してときどきやっている。夜、リラックスして、テレビを観ながらやるのもいい。ちなみに食後はヨガをやると気持ち悪くなるので、夕食から1〜2時間は空けるようにする。「こんなポーズ無理じゃない?」と思えるものが多いかもしれないが、続けていくとできるようになる。

ここまでできると、自分の体に愛着が湧いてくるので、普通に野球の練習もやる気になる。一人でできるものとしては、壁当て、素振り、神宮や新宿歌舞伎町のバッティングセンターに行く、ネットのある公園でティーバッティングをやる、などである。わりと本格的だ。

以上がひとまずサラリーマン時代にやっていたことである。

明確に効果があったこと

ここからはフリーランスになってから効果があると思われることを挙げていきたい。

⑧会社を辞める

快眠という意味では、たしかに効果があった。好きでない人と接しなくてよくなるので、人間関係で脳内のメモリが取られることが無になった。会社に勤める→会社を辞める、というルートを辿ると普通に精神衛生が向上する――当たり前すぎるけれど自分の精神衛生面では本当に良かった。まあ、会社で人間関係がいいときはそこまででもないだろうけれど、悪くなったときは離脱したほうがいいという、とても当たり前のことかもしれない。なお、これはあくまでも「自分にとっては」という話で、前いた会社が一般論としてどう、ということではない。

⑨完全朝型にする

前にも少しこのブログ上で書いたのだが、会社の始業時間10時よりも早く、早いときでは6時台から仕事を始めたりする。会社員時代は朝残業がつかず、早めに仕事を始めるインセンティブがなかったので、なかなかこれが身につかなかった。今は時間は自分でコントロールすればいいので、朝早くからやりたいときはそうしている。ちなみに朝仕事を始めるときのポイントは、いきなりトップスピードに入ることだと思う。一番面倒な執筆や企画など脳のCPUを使う作業をする。疲れてきたらメール返信などの脳がダラダラしていてもできるタスクにだんだん移っていく。

朝早くから仕事をすると心の余裕が生まれるのはもちろんいいと思う。で、快眠ということで言うと、日の出とほぼ同時に仕事を始め、日の入りとともに仕事を終わるというサイクルでいくと、夜は勝手に眠くなる。自然のリズムに合わせるというのは人間の健康にとってどうも大事らしい。ちなみに強制的に朝型にするには、朝起きたら散歩する・ランニングするといい。だが僕はそこまでは習慣的にはできていないので、たまにやる、という程度だ。だが朝の散歩は、すべてにおいて良いというのは感じている。

また、完全朝型にすると「夜が長い」というのもいい。夜は人と会って飲んだりすることもたまにあるが、夜が長いのは楽しい。

⑩ウエイトトレーニングをやめた

これはこれでしっかり書こうと思うとすごくボリュームが必要そうだけど、ウエイトトレーニングからプリズナートレーニング(キャリステニクス)に切り替えた。きっかけはコロナ騒動で通っていたジムが閉鎖されたこと。ウエイトを扱えないので、自重トレをやるしかないのかなということで、『プリズナートレーニング』を読んでやってみた。

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この『プリズナートレーニング』は、読んでみたらかなり革命的な思想が書かれていてビックリした。自分がウエイトトレーニングに対して感じていた違和感の正体が、謎の熱い文体で語られていたのだ。具体的には、ウエイトトレーニングは「筋肉」にしか効かない、筋肉だけ鍛えて関節や腱が鍛えられていないので、故障リスクが上がるし、体調も良くならない。柔軟性やバランス感覚も養われない。もし身体をトータルで開発したいというとき、プリズナートレーニング(キャリステニクス)の考え方はたしかに良いのだ。

ウエイトトレーニングをやめてよかったのは「オールアウトしない」という考え方になれたことだ。ウエイトトレーニングは、筋肉「のみ」にしか効かないのはもちろん良くないが、トレーニング効果を最大化するために「疲れてもうできなくなるまでやれ」――これをオールアウトという――と指導される。しかしプリズナートレーニング(キャリステニクス)は「オールアウトするまでやらない」「筋力を貯金せよ」という発想なので、そこまで疲れない。ほどよい刺激なので、快眠できる。

⑪夕方に運動する

これはサラリーマンのときにできなかったが、3〜6時の夕方の時間に運動している。運動というのは、いろいろやってみて思うのが、夜にやるのはあまり良くない。脳が興奮して寝られなくなるからだ。しかし、就寝の4〜5時間前にやると、就寝時間頃にはほどよく眠くなるので快眠できる。

⑫銭湯・サウナに行く

これはサラリーマンのときにもやっていたが、夜や深夜に行くことが多かった。サウナや熱風呂→水風呂を3セットぐらい繰り返して「ととのう」というやつである。でも、これも運動と同様に、寝る直前にやると寝付きがそこまで良くない。風呂は就寝の2〜3時間前までに入って、一度深部体温を上げておくと寝付きがよくなるらしい。

理想的には、「夕方に運動→銭湯・サウナ→夕食→1〜2時間ゆっくりする→ヨガ→就寝」、この流れがベストである。ちなみに「ゆっくりする」の時間のなかで個人的に一番良いと思うのはピアノの練習だ。運動ほど強烈な刺激ではないのでほどよい。もちろんテレビをぼんやり見たり映画を見るのもよいと思う。僕はこの時間に仕事をしてしまっていることも多いが、できれば仕事はしないほうがいいとは思う。脳が興奮状態に入ってしまうことがあるからだ。

で、就寝時間は、22時をめどにベッドに入るようにすると、翌朝の日の出の時間ぐらいに起きられる。

⑬寝具をこまめに洗う

旅行先でホテルに泊まると例外なく快眠できる。で、よく考えてみると、それは旅行や出張の解放感や新しい体験、身体が動くということでほどよく疲れて寝れるというのももちろんあると思うが、素朴に「寝具がきれいだからなのではないか?」ということに思い当たった。僕は率直に言うと、かつては2〜3ヶ月に1回ぐらいしか洗わないということがあった。でも人間は寝ている間にコップ1杯の汗をかくというし、皮脂も寝具に付着してしまう。

なので、理想的には1週間に1度、最低でも2週間に1度、シーツや枕カバー、ふとんカバーを洗濯し、ふとんを干すのがよいのかなと思っている。寝具がきれいになっていると、寝るのが楽しみになるというのもある。

⑭就寝時には「適度に」難しい本を読む

寝る前に難しい本を読むとガーガー寝られるという話をたまに聞く。ある程度はそうだと思う。僕が思うに、寝る前に面白いマンガや小説を読んでしまうのはあまり良くない。続きが気になってどんどん読みたくなり、夜ふかしをしてしまうからだ。

逆にめちゃくちゃ難しい本を読むとどうだろう、ということで試してみた。カイヨワの『遊びと人間』という本である。だがやってみて思ったのが、この本は難しすぎた。

結論としては、そこそこ難しいけど難しすぎない、歴史や哲学の本を読むと良いと思う。いま、僕が寝る前に読んでいるのは『聖書考古学』という本だ。

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歴史というのは、マンガや小説ほどドラマチックすぎない。「へぇ〜そうなんだ」と思うこともあれば、「なんか歴史ってオチが弱いな」と思うこともある。それぐらいの強度がいいのかなと思う。まあ要は、適度な難易度の教養書がいいのではないかと思う。歴史以外では、哲学の入門書(新書とかで出てるやつ)なども良いと思う。

ちなみにカイヨワの『遊びと人間』は難しすぎる。こういう本は寝る前に読むと、感覚的には数ヶ月苦行が続いて結局読了しないので、昼間にしっかりと腰を据えて読んだほうがいいかなと思う。

まとめ

ここまで書いてみて、結局快眠というのは生活をどう設計するか、みたいなことなのかなと思った。あと、僕は今はかなりマシになっているので必要性を感じていないが、素朴に不眠がキツイという人は、睡眠外来を受診するのが一番いいと思う。「睡眠外来 住んでる場所」で検索すれば何かしら出てくるはず。

そういえば、以前仕事でこんな記事もやっているので、ぜひ参考にしてみてください。→ 忙しい私たちがGoodな睡眠をとるには?「世界睡眠会議」の鍛治恵さん・三浦敦さんに快眠のコツを聞いてきました

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「文化系のための野球入門」(ブロマガ)(note
〈カルチャー〉の観点から日本野球を捉え直す批評連載です。

編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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