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『後ハッピーマニア』4巻まで読んでしまった | にどね研究所

『後ハッピーマニア』4巻まで読んでしまった

漫画

仕事の休憩中に読もうと思って(?)、『後ハッピーマニア』をTSUTAYAで借りてきたら、さっき4巻まで全部読んでしまいました。

というか最近思ったんですけど、TSUTAYAの漫画レンタルってお財布に優しいですよね。前は欲望のままにKindleで買ってしまっていました。経済的に余裕があったからできたことです。うん。欲望を抑えることができた=成長したかもしれません。

以前、学生時代から卒業後にかけて長く付き合っていた彼女が安野モヨコ好きだったので、影響されて大体の作品は読みました。『チェイシング・エイミー』『花とみつばち』あたりは、大学生だった当時の自分の心情に刺さりすぎてつらかった。『ラブマスターX』あたりはあんまりよくわからなかったけど。

で、特に『ハッピーマニア』のシゲカヨが好きすぎて「俺たちのシゲカヨ」とか言ってました。たしかこのブログでも『後ハッピーマニア』が出たての頃に感想書いた気がするんですが、あんまり率直に書けてなかったというか、カッコつけていたというか、微妙に見栄張って書いた記憶があるので、とても読み返す気になりません。

当時は1巻ぐらいしか出てなかったですけど、今回4巻まで読んでみて、やっぱり面白いなと思いました。

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ドーパミンとセロトニン、恋愛資本主義とストイシズム

『後ハッピーマニア』の感想は……つれづれなるままに書くと、「この人たち腸内環境乱れてそう」みたいなことは思いました。味噌汁、魚、わかめ、漬物、ヨーグルト、納豆、キムチを常食している自分には想像のできないメンタルの乱れだなと……。あと「逆立ちとか腕立てとかスクワットとかしてなそう」とも思いました。

それは重要なのですが本筋から逸れすぎるので一旦置いておくと、シゲカヨ一筋だったタカハシが、地味清楚女子にあっさり落ちるのは非常に身につまされました。自分の場合、一時期シゲカヨ的、ギャル的な「おもしれー女」と付き合っていてそれはすごく幸せだったのですが、地味清楚女子に気持ちが移ってしまい結果その子にも振られ、みたいなことが自分の身に起こったので……。しかも自分の目が節穴だった(要するにその子は詩織さんと違ってかなりやべーやつだった)ことも後でわかりました。一方、ギャル元彼女は結婚して子どもがいて、元気してそうです。そういう意味では自分と比べると、タカハシは粘り強すぎると思うんですよね。そもそも、なんだかんだカッコいいところがある。

自分がシゲカヨが何で好きかというと、よくわからないんですが自由を感じるからなのかなと。自分の原始的な欲望に忠実で、「さすがシゲカヨ!俺たちできないことをやってのける!」みたいな感じなんですかね。

ただ、『後ハッピーマニア』の登場人物たちには全然共感できません。恋愛以外に考えることないんか!?!?!? というのは強く思う……。なんかさあ、社会には格差とか差別とか不自由とかいっぱいあるしそういうのと戦ったほうがいいし、それに恋愛以外に楽しいことってたくさんあるんじゃねーのか……という気持ちはある。

ただ、これを読んでて恋愛ってこの世の中で一番沼るコンテンツだなとは思いました。依存症になるものっていろいろあって、アルコール、タバコ、ギャンブルなどなど、ドーパミンがドバドバ出る娯楽っていっぱいあるわけですが、恋愛は実は最大最強の市場ではないか、推し活とかもそういうものの一種ではないか、と。個人的には過去の反省からドーパミン系のコンテンツからなるべく距離を置いて生きており、なかでも最大最強の市場である恋愛というジャンルはあんまり近寄りたくない気がしてしまいます。

ただどうなんだろな、『こっち向いてよ向井くん』とか『違国日記』とか読んだほうがいいのかな……。なんとなく「腸内環境乱れそう」ということでそういうものとは距離を置き、読むものとしては歴史や哲学にハマっており、それはそれで良い気もするのですが、まあ「TSUTAYAの漫画レンタルを活用する」という学生時代のノリを今回思い出したので、ときどき漫画も読もうと思います。

近刊のほうの『後ハッピーマニア』のなかでは、フクちゃんの息子のよーじが、なんかピンと来るキャラクターだなと感じます。80〜90年代に青春時代を過ごした昭和末期生まれの人たちの恋愛至上主義、恋愛資本主義的なるものに一定の距離感を取ることを覚えている、だけどその人達が「没頭できる」ものを持っていることにほんの一抹の羨ましさも捨てきれない、そういう感覚。冷めてる、平熱なんだけど、どこかで熱くなれることを求めている、というような。

自分の現時点での価値観をいうと、ドーパミン系のことは現実ではあまりやりたくないなーと。そういうのはたまに恋愛系の漫画とか映画とか観たりするので十分かなと。そっちの快楽よりもセロトニン系のを増やしており、ストイシズムというのは修行を積まないとなかなか階段を上がれないのですよね。筋トレとかランニングとか野球とかピアノとかチェロとか……今度、絵も再開することになりました。こういうのって大変です。國分功一郎先生も「楽しむには訓練が必要だ」って言ってましたね。

要はセロトニン系、ストイシズムのキャリアアップを目指しているわけですが、ドーパミンに振り回されまくっている昭和的恋愛至上主義・恋愛資本主義、恋愛脳みたいな人たちへの若干の羨ましさも、あんまり捨てきれないな〜などと思いました。バランスをとるのって大変だしなと。みんなどうやってやってるんでしょう?

ダルビッシュ的に考える

バーっと書きましたが、これから仕事を頑張らないとヤバいです……。

ダルビッシュが前に、こんなことを言っていました。

「20歳の時、東京ドームで5点ぐらい取ってもらったのに簡単に追いつかれた。なんでこうなるねんって……で、東京ドームホテルに泊まってたから、水道橋あたりやったと思うけど、40歳になった自分がホームレスになって、お金もない、ご飯も食べられへんっていう状況を1回、自分で想像してみたんです」

「そんな時に神様がいきなり現れて『おい、お前、20歳の時のことを覚えてるか? あの頃に戻りたいか? 1回だけチャンスやる。その代わり、できること全部やらへんかったら、またここに戻すぞ』って言われたら、誰でも絶対戻るでしょう?

 で、僕はパッと目を開けて、たった今、神様のお陰で20歳の自分に戻って来たっていう体(てい)にしたんです。そしたら、もう未来が見えてるし、当時の僕はプライドも高かったから、『このまま終わるのはどうしても嫌や、ホンマにちゃんとやらなアカン』と」

ダルビッシュはほぼ“転生者”?20歳で想像した「全てを失う人生」。 – Number Web

うーん、できること全部やってないんですよね。とりあえず、明日と明後日の締切があり、「締切日になって前日に戻った(これを前日転生と呼びたいと思います)」ということをイメージして、何とかしたいと思います……。ということで今日はこのへんで。

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編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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