▲ゲーム・オブ・スローンズ 第一章:七王国戦記 DVDセット(5枚組)
本業でやりたいこと/やらなければいけないことがクソ多く、インプットも全然できていない上に執筆も進んでいないのですが、そのことを親と話す機会があったので話したら「一回忘れてなんか違うことやったほうがいいよ」とアドバイスされました。
年の功というか、年長の人はたまに核心を突くことを言いますよね。
そこで、Amazonプライムでエピソード8(全10エピソード)まで観ていたアメリカのファンタジー大河ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン1、残り2話をこの日曜日を利用して観ました。その感想とかを書いていきます。
そもそも『ゲーム・オブ・スローンズ』とは?
2011年から放映されているアメリカの大ヒットテレビドラマシリーズで、来年2019年のseason 8で完結するのだそう。僕は2012年ぐらいには存在自体は知っていたものの、当時はまだケーブルテレビとか(だったかな?)でしかやっていなかったのですが、ここ数年でAmazonプライムやHuluなどのサブスクリプションで観れるようになりました。
Amazonプライムで解禁された時点で「やっと観れる〜!」と思ったのですが、めちゃくちゃ後回しにしていて、この半年でちょっとずつ観ていて。1話1時間あるので、全部見ると10時間で、映画5本分ですね。これはけっこう根気がいる。スマホ中毒になってしまった現代人、よくこんなの観てるな……。
なぜ観ようと思ったのか
『SHEROCK』とかそっち系の、ミステリーやファンタジー、冒険小説ものは昔から好きで、大河ドラマも歴史も好き、漫画なら『ベルセルク』『ヒストリエ』といった権謀術数渦巻く戦争作品が超好きなので、そういったジャンルで海外で大ヒットしているというから、絶対観なきゃと思ったわけです。
シーズン1を観てみて感じたこと(ネタバレなし)
『ゲーム・オブ・スローンズ』の特徴
まず、『ゲーム・オブ・スローンズ』の特徴は「暴力と性」が容赦ない。
ゴア描写もガンガン来る。とはいえ、「こんぐらいの弱肉強食の世界だったら普通だな、しょうがないよな」という感じで、ゴア描写が目的化したものにはなってないです。
男はガンガン戦場に駆り出されて死ぬし、女はセックスを武器に生き抜かないといけない。それ自体がトラウマとして描かれるってよりも、「んなこと言ってられるか!」と、登場人物が全員たくましい。サバイバル。
「戦争」「暴力」は平和な21世紀日本に生きるわれわれには縁遠いことのようですが、歴史を見ればそれが人類の日常だったわけで、そこに業と人間らしさは同時に出る……と思うのです。
で、「暴力」と「権力の行使」というのもまた不可分なわけですが、「権力」を用いた闘争というのは学校でも職場でも、われわれが日々やっていることで、それがもっとも極端かつ残虐なかたちで出るのが「戦争」という場でもあるわけです。
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、そういった戦争、暴力と性という人間のある種の本質をファンタジー的な想像力を用いて描こうとしていて、それを高いレベルで実現している作品だと思いました。
まず、序盤を耐えることが必要だと感じた
大河ドラマにありがちな序盤のダルさ。まあ僕は大河は見慣れているので「こんなもんだろうな〜」と思っていましたが、NHK大河ドラマって歴史ものだから、たとえば戦国や幕末だったら歴史クラスタだったらかなり詳しいし、それ以外の時代を扱っていたとしてもあらかじめWikipediaを見て勉強してから観るので、「ここがこうなったら次はこうなる」というのを知っている。
で、知っている出来事と出来事のあいだを脚本家の想像力で埋める、それをどうやるかがNHK大河ドラマの腕の見せどころなわけですが、『ゲーム・オブ・スローンズ』の場合はこっちは筋書きがわからない。なのでネットの各話解説とかいろんな解説サイトを読みつつ、ネタバレを食らわないように慎重に観ていかないといけない……。
そこは、各話視聴を進めていく上で若干ネックにはなりました。
我慢が必要なのはわかるけど、それはいつまで続くの? ということが僕だったら気になります。で、僕の場合はブチ上がったのは6話でした。なので6話までは頑張って観てみてください。
以下はネタバレ若干ありの感想です。
6話「黄金の戴冠」がヤバイ(以下ネタバレ若干あり)
6話のタイトルが『黄金の戴冠』だったので、「どういうことなんだろう〜」と思ったのですが、終わり際にその意味がわかります。
「そういうことだったのか〜!!!!!」
と。
『ゲーム・オブ・スローンズ』は、ネットを見ると「相関図を覚えないとわからない」ってよく言われているのですが、正直僕としてはそんなことないと思います。
だいたい「家」で把握すればいいんじゃないかと思うのですね。
中心となるのは北の防衛に当たるスターク家
まず基本的な世界観は、ウェスタロスという大陸の『七王国』という国の王位争奪戦です。
で、ウェスタロスの北限には『進撃の巨人』的な壁があり、そこから北は冬に閉ざされた未開の地で、なんかいろいろヤバイらしい。そこで北の守りが大事なんです。
物語開始時点でその守りに当たっているのが、スターク家という貴族。ここの当主である一家のお父さん=エダード・スターク(通称ネッド)がシーズン1の主人公的な役回りで、スターク家には何人も子どもがいるのですが、その子どもたちもそれぞれ主人公的に描かれていきます。
で、国の中心は南のほうにある王都キングズ・ランディング。
そこに王様であるロバート・バラシオン(バラシオン家)がいて、ロバートはネッドとは昔からの親友でめっちゃ信頼している。王都ではもちろん権謀術数と複雑な人間関係が渦巻いていて、特に金持ち一族で戦闘力も高く、ロバートの奥さん=王妃を輩出しているラニスター家はかなりの権力を持っています。
そしてもうひとつ。ロバート王は、以前の王朝を倒して王位に就いたのですが、その前王朝(ターガリエン家)の生き残りの2人の兄妹は、別の大陸に逃げて、現地の権力と結びついて返り咲きを狙っている。
6話で描かれたターガリエン家の運命
ターガリエン家の2人の兄妹のうち、兄はヴィセーリス・ターガリエンという傲慢な人物(※ただしイケメン)で、妹のデナーリス・ターガリエン(※ただしめっちゃ美人)を現地民ドスラク族の王ドロゴと政略結婚させます。
このドロゴって人、最初めっちゃ粗暴に見えるんですが実はけっこういいやつで、デナーリスは自分の運命を受け容れドロゴを愛するようになります。
とはいえターガリエン家の2人はほとんど軍隊も持っておらず、現地民たちの好意で保護を受けている状態。自分たちでは何もできないわけです。
ところが兄のヴィセーリスは、自分たちの立場もわきまえず、ドロゴにいろんなことを要求。ガチムチの脳筋に見えて実は大人なドロゴは最初は相手にしていなかったのですが、空気を読めないヴィセーリスがどんどん増長し「もっと軍隊をよこせ!」と要求してきた段階でブチ切れ、「そんなに王冠がほしいならこれをやる」と言って、火でアツアツに熱した黄金を、部下に押さえつけさせたヴィセーリスの頭にかけて殺害する、というシーンでこの6話は終わっていきます。
殺し方の残虐さもさることながら、ヴィセーリスの分をわきまえない行動が、「黄金の戴冠」というかたちで罰を受けるというダブルミーニングに「うおおおお」とブチ上がったわけです。
で、もちろん極めてまっとうにことに当たっているデナーリスはめちゃくちゃ愛されてて、ドラゴに「俺の子ども産め、その子どもにすべてをやろう」と言われる。デナーリスも、ヴィセーリスが殺されることに対しても全然抵抗せずに受け容れる。
このあたり、ヴィセーリスのひ弱さと愚かさ、デナーリスの強(したた)かさに胸を打たれたんですね。デナーリスは「ヒロイン」と言うにはあまりにも境遇が悲惨すぎるのですが、『セーラームーン』みたいな「戦闘美少女」にならない女性の強さっていうのもいいな、と思いました。
基本的にヒキがめちゃくちゃ強い
最近の海外ドラマには特徴的なことだそうですが、各話ごとに最後の場面でのヒキがめちゃくちゃ強い。『ゲーム・オブ・スローンズ』は毎回、最後に「次どうなるんや〜!」となります。
で、シーズン最終話では特大のヒキが来る。
シーズン1をかけて「これは中世ヨーロッパの戦争の翻案なの?ファンタジーなの?どっちなの?」って思わせておいて、最終話のラストで鮮やかに答えを出す。
この構造はめちゃくちゃすごいな〜!!!!
と思いました。もちろん脚本としては計算通りなんでしょうけど。これぐらい各話のヒキの強いドラマを、僕もいつか作ってみたい! とちょっと思いました。
シーズン2も面白かった場合は、また感想を書いていこうと思います。
今のところは、クソ悲運のお姫様デナーリスと、金持ち一家ラニスター家で小人症で背が小さいけど賢い「インプ」ことティリオン・ラニスターが気に入っています。
あとはスターク家の若き後継ぎロブ・スタークと、スターク家に人質として来てるけど忠実な家来となるシオン・グレイジョイとの関係。
これって、『軍師官兵衛』の黒田長政(松坂桃李)と後藤又兵衛(塚本高史)みたいだな・・・!!!!と思うわけで。
長政と又兵衛は、黒田家で兄弟同然に育てられた長年の親友・戦友だったわけですが、最後の戦いである大坂の陣では両者相まみえることになる。これは『軍師官兵衛』で描かれているわけではないんですけど(物語は関ヶ原までで終わるので)、いつかTVスペシャルでやってくれ〜!『新選組!』でも土方歳三(山本耕史)のアフターストーリーやってたじゃん!!というわけでNHKさんには期待してます。(了)
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