ゲリラ戦をやっています

雑記

先日、編集を担当した書籍『新版プロデューサーシップのすすめ』が発売された話を書きました。→『新版プロデューサーシップのすすめ』発売!旧版からどうアップデートしたのかをまとめました

そもそもこの本は何から始まったかというと、橘宏樹さんの著書『現役官僚の滞英日記』を編集したことがきっかけで、橘さんの所属するNPO法人「ZESDA」からお声が掛かったというものです。

そして版元は紫洲書院という、弱冠24歳の竹本智志さんが滋賀県で一人でやっているベンチャー出版社です。竹本さんは印刷機を持っていて、印刷・製本もほぼ一人、マニュファクチュア(家内制手工業)でやっています。あと今回の『新版プロデューサーシップのすすめ』の電子版も、竹本さんが自分でコーディングをやっていたりします。

要は『新版プロデューサーシップのすすめ』は、NPOとマイクロベンチャー出版社という、マスメディア的な後ろ盾が何もない、とてもDIYな企画なのです。

『新版プロデューサーシップのすすめ』(紫洲書院)

DIY大好き人間として

僕(中野慧)自身、そもそもDIY、反体制、反権威みたいなものが病的に好きであり、それで人生のルートからだいぶ外れていってしまいました。最初は学生のときに友達に誘われて参加した宮台真司さんのイベントが面白く、当時大学で電子書籍の作り方を学んでいたので、「この内容を文字起こしして電子書籍にして売れば一儲けできるのでは?」と思い立ち、友達を巻き込んで制作したらすごい売れた、というのがこの仕事を始めたとっかかりでした。自分の銀行口座の残高が初月でいきなり80万増えていて震えました。あと、この企画ではドキュメンタリー動画を制作してイベントで放映したらめちゃくちゃ盛り上がり、YouTubeにアップしたら20万以上再生のスマッシュヒットになったりもありました。

それと、その前後に出入りし始めていたできたてのメディア「PLANETS」でメルマガ編集、イベント制作、ニコニコ生放送の企画、動画や電子書籍の企画・販売、書店営業、イベントでの手売りなどいろんなことをやりました。企業名のブランドとかもない徒手空拳でやれることを大きくしていったので、それなりに頑張っていたと思います。

その後は会社員になったりとかいろいろあって社会に呑み込まれていき、20代のときの謎の反権威パワーを失っていました。それが今回久しぶりに超DIYな企画をやることになり、制作費は基本持ち出しで、完全成果報酬、つまり売れなければまったく儲からない仕事をやってみることになりました。

20代のときは、版元を新たに立ち上げて大きくしていったとはいえ、宮台先生、宇野さんのインフルエンサー的な力も非常に大きかったです。今回は全然そういう要素はなく、20代のときにやっていた以上に圧倒的なゲリラ戦になっちゃっています。(東北大、慶應大、東大など権威ある先生方は登場しますが、SNS社会で有名なタイプの方々ではないのです)

なんでそんな儲からなさそうなことを? というと、心のリハビリにはなったかなと……。20代のときのエネルギーをいろいろあって失い、企業社会に呑み込まれ権威主義みたいな感じになりかねなかったので、心の体力を戻すためには良かったのかなと思います。何が言いたいかというと、これを書いている中野慧という人間は病的なまでのDIY大好き人間ということでした。

ドブ板選挙、ゲリラ戦

さて、この『プロデューサーシップのすすめ』は、新版発売にあたって日本社会でイノベーションを起こすために必要な本にする、という方針を立てて、モノとしてはしっかりしたものができたかと思います。自信を持って人に薦められる。そういうプロダクトを作ったのがかなり久しぶりでした。今までサボってました、すみません。組織で働くなかで差別や偏見、いじめ、マイクロアグレッションなどを受けて心にダメージを負って回復できてなかったです。

それはさておき、今回ちゃんとしたものができたので、しっかり売っていきたい。最初から爆売れはしてないですが、でもじわじわ上がってきている感じがします。有名出版社の看板もなく、プロモーションも予算をつけたものはできないですが、手作り、DIYでいろいろやって、いろんな人の助けを借りています。

営業も、地道に人と会って、プレゼンしてみたいな、地方選初挑戦の新人候補者みたいな感じです。朝、駅前に立って地道にやっていくみたいな。ただ、幸運なことに応援してくれる人はけっこういるので、ドブ板選挙、ゲリラ戦的にやっていくのがいいのかなと思います。そもそもこれって今の出版市場の主流とは全然違う企画ですけど、コンテンツとしてはいいものにできたし、この「プロデューサーシップ」という概念は必ず刺さるはずだという確信があるので、全然問題ないです。

いろいろな問題

ちなみに、そんなことをやっていたらサッパリお金がなくなりました。今年の前半は「どうしよう…」という感じでひたすら生活を見直したり固定費を削りまくったりしてましたが、もうやりきったかなと思います。

あと「文化系のための野球入門」企画は、ちょっとだけ進んでいたものの、今年の初めに編集者と話して企画をもっとライトなものにすることになり、脱稿したら連絡くださいという感じになっています。いままで公的に発表したものだけで20万字以上あり、草稿はさらに35万字あるのですが、そんなんまとめ直すと鈍器本どころでおさまらず、そもそもいつ出版できるかもわかりません。

あと、今年の上半期は仕事を減らしたら本書くかなと思ったのですが全然甘かったです。ろくに進んでいない。お金もない。このあいだ好きな女性に振られたりもしました。原因はいろいろあるのだと思いますが、そもそも稼いでないやつは醸し出すオーラが全体的にダメであり、そこが根っこなのかなと。「本を書く」という重要ミッションがあるはずなのにそこから逃げ続けてるのがダセーなと。

それ以前からなんとなく危機感は感じており、5月のGW頃から『新版プロデューサーシップのすすめ』のめどがついてきたので、いろんな人に「仕事ください」とお願いしていって、6月末の段階でようやく再び受託仕事が回り始めました。で、「時間がある」と思うと本の執筆が進まないのに、「時間がない」となるとむしろなんとか時間を捻出して執筆しようという感じになってきている感じがあります。

野球本の方はいままでの原稿はほぼ捨てて新しく書き始めた原稿が、粗々ですが60,000字まで来たので、進捗3〜4割といったところです。これから毎週書き進めて全体ができたところで編集者に見てもらって、そこからシェイプアップしていって10万字ぐらいにまとめられたらよいかなと思います。

というわけで今回は、今の自分の状況をできるだけ率直に書いてみました。

以下は有料部分で、最近の生活での気づきや面白いと思ったことについて書いていきます。(ランニングについて、『推しの子』について)

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