企画協力と対談パート構成を担当した『共感という病』(永井陽右著、かんき出版)が発売になりました。

お知らせ

永井陽右『共感という病』が7月16日に発売されました!

企画協力と対談パート構成を担当した、テロ・紛争解決活動家、永井陽右さんの著書『共感という病』が、2021年7月16日にかんき出版より発売になりました。

かんき出版さんから献本をもらったのですが、目次の一部です。
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もともとは朝日新聞デジタル&Mで連載していた「共感にあらがえ」というシリーズを、著者の永井さんが2021年現在の世相をふまえて大幅にリライトしたものとなっています。

近年は、SNS上でさまざまな「争い」が可視化されるようになってきています。永井さんは、10年前、早稲田大学在学当時からまさにソマリアという紛争の最前線で「調停」を経験してきたという人物です。その永井さんの視点で、SNSが具現化した現代の社会空間との向き合い方を考える、という内容になっています。

共感とSNS、紛争の調停

自分と関係のある話題でいえば、「共感」という言葉・概念は、マーケティング、とりわけWebマーケティングの世界で非常に重視されるようになりました。ビジネスにおいては「共感」をフックに何かを売る、という手法がかなりポピュラーなものになっているのです。

一方、永井さんの経験してきた紛争地では「共感」が巨大な物理的暴力にすら発展し、人々の生を脅かしてきた状況があります。いや、実は日本でも、物理的な暴力のかたちをとらずとも、「共感」は、ある種の「見えない暴力」として、人々の行動や思考を経路づける役割を果たしていたりもします。

さまざまな社会課題を解決するためには、人どうしの争い、すなわち「紛争」の「調停」をどのように行っていくのか、という視点が必要です。本書『共感という病』は、日本社会に生きる私たちの身近なことから、ある種の紛争の「極限状態」までを往復しながら、私たちが「共感」とどう向き合うべきかを考える、というものになっています。

永井さんの思考からは、日々身の回りで起こっている小さな「紛争」と、海の向こうで起こっている「紛争」が根を同じくしているという状況が見えてくるのではないか、と思います。

企画の経緯と自分の担当パート

もともとの朝日新聞デジタル&Mでの連載は社会派的なカラーの強い「硬派」なものでしたが、今回の『共感という病』では、日本社会に生きる一人でもある永井さんの柔らかな視点を入れつつ、ハードな話題とも往還していくという、なかなかアクロバティックな構成になっているようです。

自分としては企画の部分で協力しつつ、かんき出版の編集者の庄子さんからお声がけいただいて、庄子さんのほうで全面的にプロデュースしてくださって出版まで至った、というかたちでした。

僕に関しては、書籍内では「ロング対談」ということで、哲学者の内田樹さん、フェミニスト・アクティビストの石川優実さんとのそれぞれ1〜2万字の対談パート構成を担当しました。正直、進行に迷惑をかけなかったとはとても言えませんが……。ひとつのプロダクトをフィニッシュしてリリースするのは本当に大変であることは自分としてもよくわかるところがあり、著者の永井さん、編集の庄子さん、本当におつかれさまでした。

石川優実さんとの対談パート、永井さんの知的格闘の記録

ちなみに内田樹さんとの対談パートはもともとは「&M」の連載でWeb上で公開された記事を、大幅に加筆したものになっています。そして石川優実さんとの対談パートは今回の書籍化にあたって新たに録り下ろしたものですが、永井さんのある種の「男性的」な視点を入れつつ、フェミニズム/アクティビズムについて総論的に考えるというものになっていて、この角度の内容は実はけっこう新しいのではないかと思います。

そして書籍の多くを占める永井さんの書き下ろしパートでは、紛争解決の現場で10年にわたる経験を積んできた永井さんが、今までの「国際貢献で頑張っている若者」という、ある種の「押し付けられたフレーム」から抜け出そうとする知的格闘の姿を読み取ることができるのではないかと思います。ぜひ多くの方に、書店等でお手にとってみてほしいなと思います。

というわけで僕自身に関しては積み残している膨大な仕事をリリースすべくまずはがんばっていこうと思います。近々、もうひとつ今度は編集に全面的に関わったビジネスマン向けの書籍が発売される予定です!

編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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