元ドルオタがCreepy Nutsについて考えてみた~かつてドルオタだった俺たちへ~

音楽

みなさんこんにちは。かしゅーむです。

普段はサラリーマンとして働き、週末は中野さんと同じチームで草野球をしています。

好きなものは、野球・アイドル・漫画。最近はCreepy NutsにはまりうっすらとHipHopを勉強中です。興味のあるジャンルについてゆるく書いていければと思いますので、ゆっくりとお付き合いください!

アイドルオタクがHipHopにハマったワケ

今回はCreepy Nutsについて書いていきたいと思います。

自己紹介ではアイドルが好きと書いてはいますが、最近はアイドルオタクとしての活動が減少…というよりはほぼなくなり、音楽の興味はHipHop方面に移っています。

では、なぜアイドルオタクが真逆と思えるHipHop方面に関心が移ったのかということについて考えてみました。

アイドルオタクからの卒業

これに関してはシンプルに「推しの卒業・グループの解体」です(笑)。

詳しく書くと本当に悲しい話になるので、今回は触れません。

一時期は「いや、推しが卒業したけど俺はアイドルオタクなんだ……!!」と何に抵抗しているかわからない状態でしたが、「何かを推すことで精神を安定させたい」「オタクをやめる=つまらない人間になる」という精神構造になっていると自己分析できたので、現在はアイドルオタクではない自分を受け入れ、同時に『フリースタイルダンジョン』をきっかけにHipHop方面への関心を強めているという状態です。

こうやって見ると、アイドルオタクがアイドルへの関心をなくした結果、まったく別ジャンルのHipHop方面に足を踏み入れたように見えますが、実際は自分の好みを分析すると、意外とアイドルオタクとHipHop文化の親和性があることがわかりました。

HipHopのオタク的側面

自分の好みをざっくり分析してみました。

  • なにかを推すベースは「人」
  • ややマイナーなものを応援する傾向がある
  • コンテンツにおける「人間関係」を分析するのが好き
  • 自分自身は違うが、うっすらとマイルドヤンキー文化への憧れがある

この条件にバッチリとハマったのがアイドル(AKB)だったのです。

推しメンを作り、メディアに出始めたとはいえ、音楽のジャンルとしてはややマイナー寄りであり、推しメンを中心としたグループ内での人間関係を眺めるといったスタンスで、僕はアイドル文化へとハマっていきました。また、当時はアイドル現場にいわゆるマイルドヤンキー的なオタクも多く、彼らと交わることはありませんでしたが、遠くからやや憧れに近い感情で眺めていました。

これはあくまで僕にかぎった話で、アイドルオタク全般がそうというわけではありませんが、こういった経緯で僕はアイドルにハマり、推しメンの卒業や推しグループの解体で、少しずつ距離をとるようになりました。

さて、この僕の好みをHipHopに当てはめてみると、

  • なにかを推すベースは「人」
    ⇒推しラッパーをみつける
  • ややマイナーなものを応援する傾向がある
    ⇒まだジャンルとしてはマイナー
  • コンテンツにおける「人間関係」を分析するのが好き
    ⇒MCバトルの勝敗やライバル関係を分析るのは楽しい。
  • 自分自身は違うが、うっすらとマイルドヤンキー文化への憧れがある
    ⇒HipHop界隈においてはいわずもがな

こうして見ると、僕のアイドルオタクの根底として重要だと考える部分が意外とHipHopとの親和性があることがわかります。

実際、『フリースタイルダンジョン』が放送開始になった2015年頃、周囲のオタクは確かにダンジョンにハマっていました。僕もその影響で番組を見始めました。

HipHopも僕のようにオタク的に楽しんでいる人もいれば、根っからのふr……マイルドヤンキーの人もいるので、個人的には非常にアイドル文化との親和性は高いと考えます。

ちなみにここでいう「マイナー」の定義は、会社や学校で話題に出したときに「あー、最近よく見るよね…」と言われて3秒後には違う話題になるようなコンテンツのことを言います。

『花束みたいな恋をした』で主人公の2人が、終電を逃したときに一緒になった会社員2人が知らないようなジャンルだと思ってください。

なぜ今Creepy Nutsが注目されているか

続いて本題のCreepy Nutsについて書いていきたいと思います。

実際,ここ数年メディアでの露出が増え,バラエティ番組に2人が出演するのをよく見るようになりました。そういった場で紹介される際は「HipHopなのに大人しいキャラのギャップ」や「DJ松永やRー指定の肩書き(世界一/日本一を3回)」が全面的に出されているケースがほとんどです。

しかし,こういった紹介は彼らの魅力の1つではありますが,他にも注目すべき点がたくさんあります。

Creepy Nutsの魅力とは

Creepy Nutsの魅力は上記のような親しみやすさもありますが,何よりも僕が最大の魅力だと感じているのは「人間としての成長の過程を見せてくれる」という点だと考えます。2人とも持っている能力は主人公クラスではありますが,楽曲や活動を見ていくと苦悩と成長の様子を感じることができます。個人的にCreepy Nutsの楽曲を大きく3つの時期に分けてみていきたいと思います。

Creepy Nutsの変遷①~『みんなちがって、みんないい。』編~

まずは『みんなちがって、みんないい。』。

これは2016年に発売された楽曲です。

R-指定が声色を変えながらさまざまなラッパーを真似して遠回しにDisるという曲です。それぞれがどのラッパーを指しているかは動画のコメント欄を見るとわかるのでここでは詳細は書きませんが、なかなか皮肉の効いた内容になっています。HipHopにおいては「ビーフ」という意識的にケンカをふっかける文化があるにはありますが、この曲は誰かにケンカを売るわけではなく、単純に業界への不満をぶちまけてるように見えてしまいます(笑)。

しかし、楽曲自体のクオリティが高いため、あまり嫌な気持ちにはならず、聞いていて楽しい1曲です。

またこの曲と同じアルバムに収録されている『たりないふたり』は同タイトルのバラエティ番組をモチーフに、Creepy Nutsの2人の人間的に欠けている部分を歌詞にした楽曲になっています。

この時期は『フリースタイルダンジョン』が放送開始になり、世間的に2人の実力が認められ始めた時期ではありますが、なんとなく「世間を斜めから見た」曲が多く、なにか自分たちのスキルを見せたいが、アピールの仕方を間違えているような状態に見えなくもないです。

『未来予想図』という楽曲では、業界内では売れ始めた彼らに対して「お前らのせいでシーンでガキ(いわゆる質の悪いにわかファン)が増えた」と言われていることに触れたり、HipHopシーンでの居心地の悪さを感じている様子が伺えます。

ラジオでも「ケンカでは絶対に勝てないラッパーをMCバトルで倒すのが気持ちい」「デビュー当時は俺らのスキルでビビらせる事だけを考えていた」といった旨の発言をしていることから、自分たちのスキルをなかなか認めてくれないシーンへの不満を楽曲で表現していた時期と言えるのかもしれません。

クラスや会社になかなか馴染めず「俺は他の奴らとは違う」と考えて、組織でちょっと浮いた存在になるという経験が僕にはあります。この時期のCreepyNutsの楽曲は自分の不器用な部分を肯定できる気がして非常に刺さります。

※実際はこの楽曲が出た2016年はダンジョンの放送も軌道に乗り、ライブ活動も積極的に行っていたので、『たりないふたり』や『みんなちがって、みんないい』で書かれている心境はダンジョンが始まる前のCreepy Nutsが結成された時期の頃のものと推測されますが、わかりやすく分類するため上記のような表現をさせていただきました。

CreepyNutsの変遷②~『助演男優賞』編~

続いての楽曲は2017年発表の『助演男優賞』です。

こちらは比較的わかりやすく「俺らは脇役だけど主役を目指して頑張ろう」というまっすぐなメッセージが込められている……と見せかけて実際は「脇役扱いだけど、主役を超える力を持っているんだ、舐めるなよ」くらいの意気込みが込められています(笑)。若干ではありますが、斜に構えた感じが薄まり、前向きなメッセージを含む曲が出始めた時期ではあります。

スキルが認められないことを嘆くより、どうやったら世間にスキルが認められるか、という方向に考えがシフトしたのかもしれません。

自分の得意な事は何かを考え、周囲に認めさせるにはどうしたらいいか。オタクにかぎらず、主人公のような人生を歩めないことに悩む人に、かなり刺さる楽曲が増えた時期だといえます。僕自身も自分の現状と照らし合わせて共感できる歌詞がとても多かったです。

この時期から、HipHopファンだけでなく、多くの層へCreepy Nutsの楽曲が届くようになり、今のブレイクに繋がったといっても過言ではないでしょう。

また、この時期から強烈に自分自身の強さを表現する『生業』のような楽曲も発表するようになりました。

Creepy Nutsの変遷③~『かつて天才だった俺たちへ』編~

そして2020年には『かつて天才だった俺たちへ』を発表します。CMにも起用されたりと、彼らのキャリアのなかでもかなり多くの人数に聞かれている楽曲になります。

今までの曲との一番の違いは「ほとんどひねくれていない」ということです。

「世間に揉まれて個性が失われこともあるけど負けずに頑張ろうぜ!」と、かなり前向きなメッセージが込められた楽曲になっています。今まで世の中を斜めから見ていた2人がこんな前向きな曲を書くと「メジャーになると普通のことしか言わなくなる」といった批判が出そうな気もしますが、僕は「普通の事を言えるようになった」と捉えています。

能力がありながらも世間になかなか認められない、うまく業界の輪に入れない2人がさまざまなひねくれた表現で少しずつ注目を集め、最終的には「普通に前向きな事が言える」立場になったのです。

もちろん、①・②の時期の雰囲気がなくなったわけではなく、オールナイトニッポン0では2人はひねくれ・オタク全開のトークを繰り広げ、我々リスナーを安心させてくれています。

オタクが大人になるということ

アイドルオタク卒業の項目でも触れましたが、推しがいなくなった直後の僕は「オタクを辞めて仕事を頑張るなんてつまらない人間になってしまう」という謎の強迫観念に駆られ、必死にアイドルオタクとしての活動を続けていました。

それと同時に、会社では同僚や先輩に対して「オタク趣味のないこの人たちと自分は違う」と謎に距離を置き、若干会社に馴染めずにいました。

少しずつ業務に慣れるにつれて、自身のオタク知識をうまく使って周囲と仲良くなったりするなど、自身のオタク的側面をうまく利用できるようになってきました。

最近は「変にひねくれるより会社に上手く馴染んだほうが、オタク趣味も普通に楽しめるな」とさえ思うようになってきました。

こういった自分の考えの変化が、Creepy Nutsの楽曲の変遷とうっすら重なり、非常に共感を持って楽曲を楽しむことができています。

僕だけにかぎらず、ここまで書いてきたCreepyNutsの成長の過程は等身大で多くの人に共感しやすい内容なのではないでしょうか。

HipHopは自身の身の上を楽曲にすることが多いジャンルです。海外ラッパーやBAD HOPのような壮絶な人生を歩んでいるわけではないCreepy Nutsの2人の楽曲だからこそ多くの共感を集め、今のブレイクに繋がっていると僕は考えます。

「HipHopはちょっとな……」「いまさら流行っている曲は聞きたくないな……」こんなことを考えている方にこそCreepy Nutsはオススメです。

他には、ビレバン好きのサブカル系にもドンキ好きのヤンキー系にもなれない悩みを歌った『どっち』など、僕らのようなオタクに刺さる楽曲も多いので、ぜひ色々聞いてみてください。

というわけで今回は、Creepy Nutsの楽曲の変遷を通じて、「アイドルとHipHopの親和性」と「人間としての成長」について考えてみました。

ぜひCreepy Nutsの楽曲を聞いてみてください。2人の他にもクセの強いラッパーも多いので、色々と楽曲を聞いて、共感の出来るラッパーを見つけるのも良いと思います。個人的にはBAD HOPにめちゃくちゃ共感できる方とは、僕とはキャラが180度違う可能性があるのであまり話が合わないかもしれません(笑)。

さて、次回は『ドラベース』について考えてみたいと思います。(予定)

かしゅーむ

茨城に生まれ、大学時代は仙台で過ごしました。平日はゆるふわ系サラリーマンとして働きながら草野球などの趣味を楽しんでます。趣味は深夜ラジオ、野球、競馬、MCバトル動画漁り、二郎系ラーメン。ツーシームが投げれます。Twitter→@kasyumu

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コメント

  1. […] 『いちご100%』の話があったり、イラン×人類学の話があったり、Creepy Nutsの記事が出たりしています。いよいよ何のサイトかわからなくなりつつあります。自分のやってることは「企画の相談に乗る」「締切管理する」「文字校正する・Webっぽく編集する」の3点だけなので、自分の時間じたいはほとんどかかってません。LIGのときは月100本の記事を管理していたので、数本の記事であれば全然だいじょうぶなのです。 […]

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