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『お帰り 寅さん』について | にどね研究所

『お帰り 寅さん』について

映画

おつかれさまです。そういえばこのブログ、全然更新してませんでした。去年書いた新年の挨拶もない。何か、企画性を持たせようとするとすごく時間かかっちゃうんですよね。もっと気軽に書きたい。そこで、トピック別に最近思ったことを書いていこうと思います。

「ご無沙汰してます」って言いたくない

先日、数年前までよく仕事していた方にお会いしました。

で、会うのは数カ月ぶりとか数年ぶりとかだから、「お久しぶりです」「ご無沙汰してます」とか言うべきかなと思ったんだけど、FacebookとかTwitterとか、SNSでその人が何をしているかは見てるし、何か紋切り型の表現も嫌いなので、ふつうに「お疲れ様です」って感じの挨拶をしました。

僕は、セルフイメージではめちゃくちゃ友達多いです。こういうのって、セルフイメージが幸せだったらなんでもいいのかなと思って(笑)。

でも、一般的な「友達多い人」の状態とはズレているかもしれません。というのも、定期的に会う友達が多いってわけではありません。『東京タラレバ娘』の第◯出動みたいな、ああいうのがほぼないのです。

数ヶ月とか数年に一回会う友達が何人も、そして複数グループあって、それが毎月何回か、ちょこちょこ入ってくるって感じです。

それは地元の友達もいるけど、わりと多いのは、六年一貫の中高の友達、大学のゼミとか授業とか野球部で知り合った友達、よくわかんないネット経由の友達とか、仕事関係の人とか、草野球とか、いろんなパターンがあります。オフ会とかもありますし。

で、僕の友達関係はほとんど地理に紐付いていません。地域とか学校のクラスとかではなく、地域も年齢も属性もバラバラで、でもその人たちとは基本、SNSでつながっているので、別に「ご無沙汰」はしてない。リアルで顔を合わせて会ってないだけで、近況を知っている。そして僕の親しい人たちはSNSでけっこう自由に発信しているので、虚飾のない近況も知ることができています。

だからなのか、「ご無沙汰してます」「お久しぶりです」という言葉を使うことに抵抗があるな〜、ということを思ったのです。何年ぶりであっても、昨日会ったかのようにその人と接したい。

誰かに会う前に、その人のSNSのログを辿ることをわりとやります。そのほうが会ったときに、会話が盛り上がるし、「この人は私に関心持ってくれてるんだな」って思ってもらえる。

前にこのブログのなかで「SNSで疲れないために」というのを書いたんですが、大量にあふれるタイムラインにどう向き合うかっていうのは、現代人にはけっこう切実な問題ではないかと思います。

で、最近思ったこととして僕は、「その人にリアルで会う前にちょこっと/ざっと見ておく」ぐらいのスタンスが、実はSNSとの距離のとり方として、わりとベストプラクティスなんじゃないかって思ったんですね。さて、どうですかね、これ。

元旦に『お帰り 寅さん』を観ました

元旦は両親、姉&姪とともに八ヶ岳にいました。

元旦って実はファーストデーで、映画料金が安いです。なのでここ数年、元旦は映画をみるようにしているんですが、これがけっこう楽しい。

去年はさぼっちゃいましたが一昨年は、綿矢りさ原作、松岡茉優主演の『勝手にふるえてろ』を観ました。毎年、「元旦に観た映画はこれだった」というのを蓄積していけるのって素敵なことなんじゃないかと思うのです。

それと、お正月の映画館の雰囲気。なんか、あったかくて、ほんわかしている。

八ヶ岳から近くの映画館はということで、諏訪湖の北にある「岡谷スカラ座」というとこに、父、姉、姪と僕の4人で行きました。なかなかレトロ感があっていいところです。あ、「元旦って映画館やってないんじゃ?」と思うかもしれませんが、ファーストデーなのでだいたいやってます。

それで『お帰り 寅さん』。

これが、けっこう面白かった!

というか普通に傑作では!? と思いました。

僕は寅さんって、家族が観てたのでパラ見ぐらいで、あんまりちゃんとしたファンではないですし、一本見きったこともなかったのですが、とても楽しめました。ただのノスタルジーじゃない、でもちょっとノスタルジックな、楽しい作品です。

寅さんって、よくわかってないですけど、たぶん家族のことを描いてるんでしょうね。いまどきあんな大家族もないし、地域のつながりもない。ほとんどの日本人が持っていないものだと思います。

象徴的だなと思ったのが、寅さんの甥の満男(吉岡秀隆)に中学生の娘がいるのですが、劇中で友達が家に来て、柴又観光に行くんです。柴又って、やっぱ珍しいんでしょうね。それと同じで寅さんの家族って、天然記念物というか、郷土資料館とかに展示されるような珍しい家族なんだと思うんです。

僕はいま33歳ですが、大学生の頃だったらこういう作品に「ケッ」って言ってたような気がします。古き良きムラ社会、大家族、ご近所付き合い。こういうものをやたら否定したがっていたと思うので。

でも『お帰り 寅さん』には、すごくたくさんの豊かな可能性が描かれているように思えた。「フーテン」なんて職業もいまはないし、寅さんみたいにそんなしょっちゅう旅をするような仕事もない。それで、寅さんみたいに「空気を読めない」異邦人はどこにいってもつまはじきにされそうです。でも、寅さんはいつも活き活きしていた。

劇中で、たぶん寅さんは死んじゃってるんですけど、みんながそういう寅さんみたいな存在を懐かしがっていて、寅さんがいないにもかかわらず、登場人物のなかに「寅さん」という存在が確かに生きているんですね。

家族って、大変だと思うんです。実はうちも、いまどき珍しい大家族です。劇中ではみんなしょっちゅう細かいことでケンカしてますが、うちの大家族も同じです。つまんないことでしょっちゅうケンカしてます。でもまあ、冷静に考えてみると、なんかそういう大家族って羨ましがられるようなもの、なのかもしれないですよね。

だから要は、「家族っていいな」と、ベタですが、思ってしまいました。帰る場所があるって、なかなか豊かなことだと思うんですね。

僕は、今は親や家族に恵んでもらってますけど、けっきょくこういうのは自分でも作らないとあかんのかな〜ということもちょっと思いました。それが結婚とか子供とか、そういう血縁に頼ったものじゃなくてもいいのかもしれないけど、「帰る場所」を少しは自分の手でつくることも必要なのかな、と。

どうやったらできるんでしょうね。何もしなくてもいいような気もするし、自分は今後も何もしないような気もするんですが、元旦からそんなことを考えてしまいました。

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