「フォルダをどう使うか」は地味に重要……原稿制作におけるフォルダ管理の考え方と方法

ライティング・編集

今回は原稿制作におけるフォルダ管理の方法について書いていきます。

ここで書くことは、玄人の目からしたら「そんなの当たり前だろ」と言われるとは思うのですが、意外とここをあまりしっかり考えずにやってしまう人も少なくないので、今回改めて書きたいと思います。

よくありがちなフォルダ管理

よくありがちなのは、「ドキュメントや素材の種類ごとにフォルダ分けする」というものです。

こんな感じで運用している人、けっこういるのではないでしょうか。というか、僕が複数回目撃してしまったため、こうやって記事を書かせていただいている側面があります(悲)。

こんな感じです。

  • (案件名)フォルダ
    • 企画書
      • 企画1の企画書ドキュメント
      • 企画2の企画書ドキュメント
      • 企画3の企画書ドキュメント
    • 音源
      • 企画1の取材音源
      • 企画2の取材音源
      • 企画3の取材音源
    • 文字起こし
      • 企画1の文字起こし
      • 企画2の文字起こし
      • 企画3の文字起こし
    • 写真素材
      • 企画1の写真フォルダ
        • アタリ画像
          • (アタリ画像が入っている)
        • 本番画像
          • (本番画像が入っている)
      • 企画2の写真フォルダ
        • アタリ画像
          • (アタリ画像が入っている)
        • 本番画像
          • (本番画像が入っている)
      • 企画3の写真フォルダ
        • アタリ画像
          • (アタリ画像が入っている)
        • 本番画像
          • (本番画像が入っている)
    • 原稿
      • 企画1の原稿ドキュメント
      • 企画2の原稿ドキュメント
      • 企画3の原稿ドキュメント
    • 議事録
    • 資料
      • (クライアントや取材先から貰った資料がバラバラに入っている)
    • テンプレート素材

これは、考え方としてすごく悪いというわけではないですが、原稿を編集していくときに「文字起こしのここ間違ってるから音源聞き直さなくちゃ」とか「写真をどういうふうに入れようかな」と考えていて、それぞれのファイルが別々のフォルダに入っていると探すのが面倒くさいです。検索ワードを打ち込んでもいいのですが、僕は検索することすら面倒です。

そもそも、「検索に頼る」ということは、ファイルに命名規則などを設けて、毎回毎回、ファイル名をリネームするという作業が必要になります。もちろん僕もある程度まではやっていますが、同じフォルダ内で完結するほうが面倒が少ないと思っています。

「企画ごとにフォルダ分けする」とは

そこで僕がやっているのは、ファイルの種類ではなく、「企画ごとにフォルダ分けする」というものです。

たとえばこんな感じです。

  • (案件名)フォルダ
    • 企画1
      • 企画書
      • 音源
      • 文字起こし
      • アタリ画像
        • (アタリ画像が入っている)
      • 本番画像
        • (レタッチ済み画像が入っている)
      • 原稿
      • 資料
    • 企画2
      • 企画書
      • 音源
      • 文字起こし
      • アタリ画像
        • (アタリ画像が入っている)
      • 本番画像
        • (レタッチ済み画像が入っている)
      • 原稿
      • 資料
    • 企画3
      • 企画書
      • 音源
      • 文字起こし
      • アタリ画像
        • (アタリ画像が入っている)
      • 本番画像
        • (レタッチ済み画像が入っている)
      • 原稿
      • 資料
    • 議事録
    • テンプレート素材
    • アーカイブ(完了した企画はここに入れる)

企画ごとにフォルダにすべての素材をまとめておくと、Finderで同じフォルダを開いておけばすべての種類のファイルにすぐアクセスできるので、原稿編集の際に「あれどこだっけ……」と探している時間がけっこう圧縮できます。

「企画ごとフォルダ管理」の運用のポイント

この「企画ごとフォルダ管理」のミソは、「アーカイブ(完了した企画はここに入れる)」という名前のフォルダを作っておくことです。たとえば企画1が完了したら企画1のフォルダごとここに入れてしまいます。

MacのFinderでもGoogleドライブでも、ゴミ箱フォルダに入れてしまうと間違って消してしまったりしますが、その代わりに、ゴミ箱じゃないけどゴミ箱的なフォルダとして「アーカイブ」フォルダを作っておくわけです。

ちなみに「アーカイブ」という名前だけだと目が滑ってしまいがちなので、目立たせる意味でも「アーカイブ(完了した企画はここに入れる)」というフォルダ名にすることに、僕はこだわっております。

ファイルの命名も、たとえば文字起こしなら「200331◯◯先生取材文字起こし.docx」みたいに命名しがちですが、「企画1フォルダ」に入れておけば「文字起こし.docx」ぐらいの命名でよいです。それ困るんじゃないの? と思われるかもしれませんが、今のところ、このやり方でファイルが見つからなくて困ったりしたことは、まだないです。なぜなら、企画フォルダ自体に全部入れるようにしているので、そのフォルダさえ見つかればすべてのファイルが見つかるからです。

編集長・デスクの役割を担う人たちは、定期的にフォルダの1階層目を見直して、「あ、この企画もう終わってるな」というものをアーカイブに入れていくと良いと思います。そうすると、フォルダの1階層目を見れば現在進行中の企画が一目瞭然になります。また、完了した企画を「アーカイブ」フォルダに入れていく作業をすることで「あー、これ終わったなぁ、よかったよかった」とちょっとだけ達成感を得られます。「ファイルの種類ごとフォルダ管理」の方法だと、もう終わっているものがいつまでもフォルダの2階層目に残り続けるのでちょっと散らかってる感じになってしまいます。

なお、僕とお仕事していただいているライターの皆様宛ですが(すみません初心者の方からゴリゴリのプロまでいるなか恐縮なのですが)、僕が編集担当している案件では必ず「企画ごとフォルダ管理」を徹底してくださいませ。

そして、取材が終わったら、必ずその日じゅうに、僕が指定しているGoogleドライブ(またはDropbox)のフォルダに、音源や写真素材(※一人で取材に行って写真も自分で撮る場合)をアップロードして、クラウドでバックアップが取れるようにしていただければと思います🙇 これはプロには言わずもがなですが、音源や写真などのファイルは極めて重要であり、無くしてはいけないものであるため、バックアップは当日速攻でやらなければなりません。事故の防止のためにもこの工程は非常に重要なのです。

まとめ

フォルダ管理は「部屋の掃除」みたいなものだと思います。定期的に掃除しなければホコリがたまってきて部屋で過ごしたくなくなるのは、サイバー空間も同じである可能性があります。個人的には、いつもキレイな部屋で仕事するのがいいんでないか、と思っております。

編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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