これまで、固定費について考えるブログを出してきました(これまでに出した記事一覧はこちらへ)。
住居費、水道光熱費、サブスク、固定ネットと来たので、今回はスマホ代について考えてみます。
(2023.5/28 21:00 Rakuten Linkについて追記しました)
「月20GB」「月3GB」などのプランだと、かゆいところに手が届かない
僕はスマホに関しては、過去にソフトバンク、ワイモバイルを契約していた影響で、LINEMOができてからはずっとLINEMOを使っていました。20GBで2,728円のプランです。
LINEMOでは毎月の使ったデータ量が確認できます。そこで過去のデータ量を見ると、ほとんど4GB〜10GBでおさまっていて、月10GBぐらいが無駄になっていることがわかりました。
そこで手始めにLINEMOを、月3GBで990円の「ミニプラン」に変更してみることにしました。基本的に家にいることが多いので、「外に出ているときの移動時間は、スマホを触らず本を読むことに決めればいいのだ!」と発想を切り替えたわけです。
この発想は今でもありだと思っていますが、実際にやってみたら、とはいえ月3GBはなかなか厳しいです。喫茶店などで数時間テザリングを使って作業すると、500MBぐらいは使ってしまい、それが月に6日とかあると3GBはすぐに超えちゃいます。
さらに厄介なのはLINEMOの場合、ミニプランにしてしまうと3GBを超えたら1GBごとに550円かけてチャージしなければならないことでした。そうなると結局、「多少データ量が無駄でも、2,728円かけて最初から20GBのスマホプランにしたほうがいい」というふうに思ってしまう仕組みになっています。要するに「3GBか20GBか」というのは、必然的に20GBに誘導されるプラン設定です。多くの人にとって、本当は5GB〜10GBぐらいのプランが必要なのです。
通話料という(実は大きな)問題
そしてもうひとつ気になったのが、通話料がかかることでした。ときどき仕事で電話を使わねばならず、その通話料金が数百円〜1000円ぐらいかかったりもしていて、これがめちゃくちゃ無駄だなと。
LINE通話だったらデータ量の中にカウントされるので通話料金がプラスアルファされないのですが、仕事で繋がっただけの人とはLINEで繋がりたくない気持ちもありますし、年配の方だと「電話の方がいい」という方もいらっしゃいます。仕事上、そこにはどうしても対応する必要があります。
オンライン専用格安プランは固定ネットとの割引がない
大手キャリアのオンライン専用格安プランはドコモのahamo、auのpovo、ソフトバンクのLINEMOがありますが、オンライン専用格安プランは家の固定ネット回線と組み合わせての割引適用がないので、どこの会社と契約しても大して変わりがありません。僕はもともと固定ネットをソフトバンク光にしていてその流れでLINEMOにしていましたが、固定ネットとのセット割がない以上、どこの会社と契約しても同じです。
povoを契約してみる
そこで次に、試しにauのオンライン専用格安プラン「povo」を契約してみました。
大手3社が提供するオンライン専用格安プランの3つのうち、なんとpovoだけは基本料無料で、データ量は「トッピング」というかたちで都度購入することになります。要はSuicaのチャージみたいなもので、データ量が無くなったら買い増せばいいわけです。一日外出してかなり使いそうな日は、1dayでデータ使い放題330円のトッピングもあって、これは使いやすいそうだなと思いました。
povoで基本となるのはおそらく、データ料金30日間で3GB・990円のプランです。これはLINEMOのミニプランとほぼ同じ。またpovoの場合は「ギガ活」といって、いろんな料金支払いにau payを使ったりすればギガがもらえるので、かなり頑張れば無料で使い続けることも不可能ではないらしいです(ただし180日間、有料プランの支払いがないと自動解約されてしまいます)。
ただ、ここでも気になったのが、通話料の問題でした。オンライン専用格安プランは、ここがどうしてもかかってしまいます。ahamoでもpovoでもLINEMOでも、月額500〜1000円ほどでかけ放題オプションがつけられるのですが、あまり契約したいとも思えなかったんですよね。電話は、使わない月は全然使わないですし。
楽天モバイルは信用できない?
そこで第4のキャリア、楽天モバイルもありかな、と思うようになりました。楽天モバイルは本当にネット上での評判が悪いんですよね。「経営がやばい」という噂もめちゃくちゃ流れていますし、楽天グループ全体の経営の足を引っ張っているとされます。最近では元部長の100億円使い込みなどの大不祥事も、大きく報道されました。
ちょっと前にこんなことをツイートをしました。
これは今でもそう思います。楽天系サービスはこうしたズルをしがちです。ここに賭けるか否かは、楽天という企業の姿勢をどう判断するか、という問題でもあるなと思うわけです。正直、税抜き価格表示の問題が端的に示すように、楽天グループの企業としての姿勢はどうなのか?と思う部分も大きいです。そしてこのシリーズの第1回でも述べたように、楽天でんき・ガスも別に安くはありませんでした。
楽天モバイルのプランはかゆいところに手が届く
とはいえ、楽天モバイルの良い点は、前述の5GB〜10GBぐらいの幅に対応している点です。楽天モバイルの料金システムは以下のとおり(2023年5月23日時点)。
3GB〜20GBという一番使う価格帯で、大手携帯会社にはない2,178円のプランがあること。また、データが足りなくなったときにいちいちプランを買い足す必要がなく、自動的に移行してくれます。これはけっこうユーザーファーストなプラン設定なのですよね。
ちなみに「楽天モバイルはつながりにくい」問題ですが、たしかに平日正午付近の時間帯や、オフィスビル内や地下などではつながりにくいことがあります。しかしそんなときは、SNSなどを見るのではなく本やKindleを読むようにすればいいと思います。楽天モバイルのつながりにくさを活用してスマホ離れをする、というわけです。
また、楽天モバイルは日々電波状況が改善されています。上のような特殊なケースを除いてほとんどの場所・時間帯で普通につながるため、特に問題は感じていません。
楽天モバイル+povoのデュアルSIMで問題はかなり解決する
現時点でベストだと思うのは、楽天モバイルとpovoを両方契約してデュアルSIMにすることです。メインは楽天モバイルを使って、サブ回線でpovoを契約します。なぜかというとpovoは基本料無料で、データの買い増しの自由度が一番高いからです。
このあいだ大学のOB・OG会をリアル/オンラインで同時開催したのですが、オンライン中継に使ったのはpovoの1日データ使い放題330円のプランでした。通信品質も問題なく配信することができました。povoの場合、こういう使い方もできます。たとえば、どうしても地下で楽天モバイルがつながらないときなどは、povoの1日プランを使えばいいのかなと。
おまけにpovoは、ローソンやドトールなどで500円以上の支払いをau payですると、300MBのデータボーナスが貰えます(これは「ギガ活」というらしいです)。僕はギガ活で溜まったデータを、長時間外出する日に使っています。ポイ活のようにみみっちいことにも思えますが、生活パターンに組み込んでしまえば特に面倒はないです。
ちなみに僕はiPhone XRのため、両方ともeSIM=いわゆるデュアルeSIMはできないため、eSIMで楽天モバイル、物理SIMでpovoにすることでデュアルSIMにしています。もっと新しいiPhoneの場合はデュアルeSIMを使える場合もあるので、実装する際はご自身で調べてみてください。
通話料問題もRakuten Linkでほぼ解決される
そして前述の通話料問題も楽天モバイルでかなり解決されます。楽天モバイルを契約すると「Rakuten Linl」という通話アプリが使えるようになります。Rakuten Linkでは自分の携帯番号から、他の携帯や固定電話に無料で発信したりSMSを送信したりできます。
なぜこんなことが可能なのかというと、Rakuten Linkの場合は電話網に接続するのではなくRCS(リッチコミュニケーションサービス)という、日本以外の海外ではすでに普及している新しい接続方式を利用しているからです(参考:第845回:RCS(Rich Communication Services) とは – ケータイ Watch)。RCSは電話網ではなくデータ通信を使うので通話料がかからない、というわけです。
通話品質については最高とはいきませんが、全然使えます。また、Wi-Fi環境下だと楽天モバイルのデータ網を使わないのでかなり安定した通話が可能です。これはフリーランス的にはとても助かる機能です。仕事で大学の先生などに電話しなければいけないとき、思わぬ長電話になり通話料がめちゃくちゃかかるということを経験しましたが、Rakuten Linkがあればそういった不測の事態にも対応できます。
ちなみに通話料問題は三大キャリアのオンライン専用格安プランでも、他の格安SIM(MVNO)でも同じように発生します。Rakuten Linkが使えるというのは、他のサービスに比べて楽天モバイルが圧倒的に優れている点です。この点は世間であまり強調されていないと思うので、改めて強調しておきたいと思います。
◇
要は、RCSという比較的新しい技術をきちんとプロダクトに実装しているという意味で、楽天モバイルはけっこう頑張っているといえます。
そしてここからはややおまけですが、一般ユーザーがもっと楽天モバイルを使うべき社会的な理由もあると感じたので、そのことについて書いていきます。
「投資」の観点から楽天モバイルを使ったほうがいい?
世間的にはきわめて評判の悪い菅義偉前首相官ですが、彼は官房長官時代から「携帯電話料金が高すぎる」「携帯会社は公共性が高い上に免許事業なのに利益率が20%と高すぎる、5%以下にすべきだ」と言って圧力をかけ続け、ついに首相時代に大手キャリアの大幅値下げを実現させました。
その結果として生まれたのがahamo、povo、LINEMOです(参考:菅首相はなぜ携帯料金引き下げにこだわるのか 側近が語る問題意識と課題 | 毎日新聞)。
少し前、プレジデントオンラインにこんな意見が載っていました。
大手3社の寡占状態が続く携帯電話市場だが、そこに風穴を開けようとゼロからスタートした楽天モバイルのチャレンジは称賛に値する。楽天モバイルの参入によって、この市場に緊張状態が生まれ、値下げ競争の呼び水になったことは間違いない。
「格安スマホの旗手」が失速するようなことになれば、再び3強の寡占市場になり、世界有数の「通信料金が高い国」に逆戻りしかねない。それは、利用者にとって、もっとも不幸な事態だろう。
赤字続きの「楽天モバイル」を潰してはいけない…このままでは「スマホ代が世界一高い国」に逆戻りする 私が「第4のスマホ会社が必要」と考える理由
たしかに、僕自身も今までさんざん3大キャリアにお金を取られてきました。最盛期には固定ネットとあわせて月15,000円ぐらい払っていたわけで、それが大手キャリアのカルテルだったとすると、ちょっとさすがにどうなの? という気がしてきます。それに風穴を空けたのが楽天モバイルだったわけです。
庶民としては、事実上のカルテルを結んで庶民からお金を巻き上げようとする既得権側のサービスは使わず、チャレンジャーの側のサービスを多少無理してでも使うということは、大きなことを言えばイノベーションにつながるように思うのです。
どのサービスに共感するか、どのサービスを使うことが社会全体の進歩に寄与するか……自分はこれまでそういった視点で、自分の使うサービスを選ぶことをしてきませんでした。なんとなく昔から使っているから銀行は三菱UFJ銀行だし、スマホもネットもソフトバンクだし、電気ガスはなんか怖いから東京ガスで……という感じでやってきたわけですが、そういう保守的な思考や選択自体が、日本社会のイノベーションを阻害しているのでは? と思い始めたわけです。
補足しておくと、いわゆる格安SIM(MVNO)――たとえばOCNモバイルONEやIIJmio、mineoなど――が普及すればそれでいい、というわけでもないようです。MVNOは結局、通信インフラは3大キャリアに間借りの状態なので、MVNOがどれだけ普及したとして、ドコモ、au、ソフトバンクの牙城が崩れることは考えづらいわけです。これは、過去に触れた電力自由化とも似た関係にあります。
「MVNOがあればすべてOKだし、楽天モバイルは潰れてもいい」という話ではなく、むしろ楽天モバイルを潰してしまうのは、日本のイノベーションの芽を摘むことにもなりかねません。そこで、自分は投資するつもりで楽天モバイルを使ってみよう!と思ったわけです。
こんなことを考えていて思いついたのが、「サービス批評」「ビジネス批評」みたいなものの必要性です。試しに「楽天グループ」をモデルケースに、批評を試みてみたいと思います。以下、やや蛇足ですが、有料としていろいろ書いていきます。
既得権益の一角を崩す
楽天グループの事業には、JTC(Japan Traditional Company=日本の伝統的大企業)のもつ既得権の一角を崩そうとする点が共通しています。
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