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ファッションについて考えるとき僕の考えること | にどね研究所

ファッションについて考えるとき僕の考えること

カルチャー

現在、僕のファッションは極めてテキトーです。

薄々感じていました。今回はそのことについて書いてみようと思います。

どうしてこうなってしまったのか

いやちょっと待って、大学4年目ぐらいまで、僕はけっこうオシャレだったはずなのです。

特に一橋大学野球部の関係者に確認したいんだけど、君ら、僕のファッションを真似してたぐらいだよね? 何なら僕、若干ファッションリーダーめいてたよね?

当時は、多摩地域のあまりオシャレでない大学の感じに反発していたこともあって、暇があれば裏原宿から渋谷のあたりをうろついて服を買っておりました。メンズファッション誌だった「POPEYE」を愛読しており、今やすっかり定番化したスキニージーンズをいち早く導入したり、ラッドミュージシャンとか、フライターグの流行り始めの頃にすでに導入していたり、マカロニアンも流行り始めの頃にはもう履いてました。

・・・ただ、何だろう、PLANETSに出入りし始めた前後から急速にそういうことをしなくなってしまったと思います。

当時はオタクVSサブカル、という二項対立がまだ有効な時代でした。

PLANETSは基本はオタク系の媒体なので、めちゃくちゃ自意識に敏感な界隈だったと思うのですが(私調べ)、メンズファッションにおいて意識の高い人間=自意識系 or  サブカル系というようなレッテル貼りが行われていた・・・ように個人的には感じています。あ、これは半分ジョークとして書いております。

あと、当時2000年代後半にイケていたのは――めちゃくちゃざっくりした言い方になるんですけど――IT系なんですよね。これは何かというと要はスティーブ・ジョブズ。ジョブズは効率化のため、黒のタートルネックにジーンズという同じ服しか着ない。それが「効率的でイケてる」という価値観が徐々に強まりつつあったわけです。それがいわゆるノームコアとか、ファストファッションの隆盛とも結びついていた。

オタク/IT系の価値観に染まると、すべてを「合理的か」「コスパがいいか」といった有用性で判断するようになってしまうんですね(当社比)。僕も、知らず知らずのうちに、ファッションの楽しみを「非効率」と切り捨てるようになってしまっていた。

とはいえ、PLANETSではファッション系の記事をつくってました、そういえば!!!!! メルマガの企画で、ライターの小野田弥恵さんと一緒に連続企画としてやってました。

 

都市生活とスポーツの融合が生み出す”新たなライフスタイル”とは!? ――「アメリカ生まれのスポーツショップ」オッシュマンズを取材してみた 

 

「ネット時代のストリート」はありうるか?――「VANQUISH」でお兄系ブームを先導した男・石川涼が語るファッション文化の未来(※こちらの記事は、ライターは藤谷千明さんですが編集をやりました)

 

「日常着としてのアウトドアウェア」はなぜ定着したのか? BEAMSメンズディレクター・中田慎介インタビュー

 

「山スカート」はなぜ生まれたのか? アウトドア誌「ランドネ」編集長・朝比奈耕太に聞くファッションとライフスタイルの接近

 

音楽フェス、都市型バーベキュー、フリークライミング――〈アウトドア〉は社会をどう変えたのか(アウトドアカルチャーサイト「Akimama」滝沢守生インタビュー・前編)

 

で、上記の記事とは別のラインで、男性性とかファッションとかプロダクトデザインについて議論した内容も書籍になっております。

思い出すとなかなか頑張っていた気がします。今の自分にこんな仕事できる気がしません。

それはさておき。

そして浦島太郎と化した

気づけば最もファッション好きだった大学生時代から約10年。

いや、PLANETSでファッション系の記事をやったりしてからも5年ぐらい経っていて、当時は20代でやる気に満ち溢れていたのが、今や30代の中盤にさしかかりつつあります。おそろしや。

いま、僕のファッションレベル、ファッションリテラシーはいつの間にか底辺まで落ちております。

もうひとつの原因

もうひとつ、ここ10年でファッションに興味をなくしていった原因としては断捨離が挙げられます。

そう、こんまりさんです。

私自身、『片付けの魔法』を読んで感銘を受けてこんまり教に入信し、せっせとときめかないモノを捨て、ときめくモノは定位置を決める、という日々が始まりました。

で、最近気づいたんですけど、服を捨てすぎて、昔買ったオシャレアイテムがほとんど姿を消してるんですよ。「こいつもムダ!こいつもムダ!」って捨てまくった結果、自分のファッションアーカイブも捨ててしまっていました。「いらない子は捨てる」という、ある種の優生思想に陥ってしまっていた側面があります。

まあ新陳代謝を進めて新しい服を買えばいいんですけどね。新しく服を買うこともあんまりなくなっちゃいました。なので最近、着る服がなくて困っています。

MBさんの登場

そんななかで徐々に危機感を持ち始めるきっかけになったのが、カリスマファッションバイヤー/ブロガー、MBさんの登場でした。

「SPA! 」などでのファッション連載にはじまり、いまやホリエモンともよく共演してメディアに出てますよね。

最初に僕がMBさんの存在を認識したのは、彼が全面的に監修をおこなった『服を着るならこんなふうに』という漫画です。

この本が画期的だったのは、「ユニクロやGUでもオシャレになれる!」と堂々と宣言したことにありました。以前は(いや今でもその風潮はあるが)、ファッショニスタのあいだでは「ユニクロやGUはダサい」という空気が支配的だったわけで。

しかし、MBさんが変えたいと思ったのは一部のファッショニスタではなく、成人してからファッションに興味を持たなくなってしまった多くの男性たちのファッションだったのですね。

そして『服を着るならこんなふうに』のメッセージは、効率やコスパばかりを重視するオタク/IT系男性に、ファッションカルチャーの豊かさを伝えようとするものだったように思います。

・・・とはいえ僕はというと『服を着るならこんなふうに』を読んでも、「そうやな、やっぱファッションカルチャーって豊かだよな〜」と思いつつ、漫画内に登場する主人公の妹(環ちゃん)のあまりのかわいさに気を取られ、自分のファッションを改革するまで至りませんでした。

 

服を着るならこんなふうにの環ちゃん
▲『服を着るならこんなふうに』第1巻より。

そう、環ちゃんは超かわいいです。環ちゃんのかわいさで4〜5時間は語れると思うので同志の方がいらっしゃいましたらお知らせいただけますと幸いです。

▲Googleの検索サジェストからも環ちゃんの人気が伺える。「過去」とか検索しているのは、彼氏がいたのかとか、そういうことが気になっているファンが多いのだろう。架空の人物ではあるのですが・・・。

今後どうしていくのか

とりあえず、『服を着るならこんなふうに』を読むだけでは環ちゃんに気をとられて服に注意がいかなくなってしまうので、MBさんのこの著書を買って勉強することにしました。

そして本を読んでとりあえずやったのは、

  • ユニクロアプリでEZYアンクルパンツのMサイズを購入(¥2,990)
  • 同じくユニクロアプリで白と紺のブロードシャツXLサイズを購入(¥1.290×2)
  • GUアプリでサンダルやショートパンツなどを購入(合わせて数千円)

です。なぜ上がXLサイズかというと、最近筋トレのせいで体が大きくなってしまい、僕はマッチョ体型は見た目としては好きではないのでオーバーサイズでごまかしたいのです。

自分の(断捨離後の)服の在庫は、ドレスライクなものがほぼありません。「着心地がいい」などの機能性を追求した結果、いつの間にかフォーマルっぽいアイテムが完全に消えておりました。少しずつ補充していきたいと思います。

MBさんの本を読みながら、自分が過去の一時期「おしゃれだよね」と言われていた時期のことを思い出したのですが、その時期は「自分がどんな服が好きか」ではなく、特に女性にいいと言ってもらえる服はなにか、を考えてコーディネートしていたことを思い出しました。

そこで必要だったのは、モノトーンをはじめとしたシンプルな色使いとか、プリントTシャツは着ないとか、ややドレスライクにするとか、小物だけはちょっと派手な差し色を使って冒険してみるとか、そういうことだったと思います。

この記事を書いてて、ファッションって、自分と周囲との関係性の「気持ちよさ」から成り立っていくものなんじゃないか、って、改めて思ったんですよね・・・。

「自分が何をいいと思うか」という主観をむしろ少し手放して、自分と社会との関係性を調整しながら、そこに自分が乗っ取られていくうちにだんだん楽しくなってくるという、「委ね」の快楽ではないかと思うのです。だからこそ女性のほうがファッションにこだわりがあったりするのかもしれません。

ファッションのリテラシーって、一度落ちてしまったらなかなか元に戻らないんじゃないか、ということを思いました。なので、これから少しずつ、ファッションレベルを上げていけるようにがんばります。

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