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『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』がめっちゃ怖かったのと、スティーブン・キング作品群の雑感 | にどね研究所

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』がめっちゃ怖かったのと、スティーブン・キング作品群の雑感

カルチャー

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(画像出典:IT イットそれが見えたら、終わり。 : 作品情報映画.com

スティーブン・キング原作のホラー映画『IT イット “それ”が見えたら、終わり。』を観てきた。

米国では9月に公開されて初日から驚異的なヒットとなり、ホラー映画としては『エクソシスト』(1973年)を抜いて歴代最高の興行収入を記録したとのこと。(R指定ホラー映画史上最高の記録!ホラー作家の頂点スティーヴン・キング原作『IT/イットそれが見えたら、終わり。』特別映像!シネフィル映画好きによる映画好きのためのWebマガジン

日本ではもはや「アメリカで大ヒット!」の売り文句が通用するわけではないので、受けるかどうかはわからないが、筆者が鑑賞した公開初週の金曜夜の回は満員だった。

で、ネタバレなしの感想を書くと、ほんっっっっとに怖い。。。

筆者は86年生まれなので世代的にJホラー(『リング』『らせん』『呪怨』とか)の洗礼をモロに受けているのだが、今回の『IT』の怖さはそれらと比べると十分に上回っている。「来る…来るーーー!」と思っていても毎回いちいち「ひぃー!」となる。筆者の隣の席に座っていた男性は、そういうシーンになるたびに「ビクッ!」となっていた。(僕もけっこうなっていたと思う)

で、それがなぜかというと、たとえばJホラーは「異形のモンスターや幽霊が出てくる」というのが予めわかりきっている。それに対して『犬神家の一族』『八つ墓村』などの金田一耕助シリーズなどは怖いのだが、「でも結局、殺し方とか雰囲気が怖いだけで、生身の人間が、理解可能な動機をもとにやってるんでしょ?」という安心感がある。しかし『IT』の場合はホラー描写が単なる登場人物の心象風景にとどまっておらず、リアリティの水準があいまいで、それがリアルな怖さにつながっていると思う。

また、原作にも言えることだが掴みがかなりよい。冒頭の5分で一気に物語世界に引き込まれる。そこから2時間ずっと怖いので、ホラー映画としての出来はかなりいい。

また、同じくスティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』のような、少年(『IT』の場合は少女もいる)の冒険物語という側面もある。稲田豊史氏が述べていたが、大長編ドラえもん的、スクールカーストムービー的な、学校でいじめられている子どもたちが団結して悪に立ち向かうストーリーでもある。ホラー描写が優れていて、かつ物語の筋もしっかりしていて謎も残している(後編が2019年に公開される)ので、特にデートムービーにおすすめであると思う。

それと、物語の筋は明らかに『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部「ダイヤモンドは砕けない」と、最近アニメ化などもされてヒットした『僕だけがいない街』(三部けい)を思い出させる。当然、荒木飛呂彦はキングに影響を受けているだろうし、その荒木が4部を執筆中に三部けいがアシスタントを務めていたということもあると思われる。

で、キングは当然、現代ポップカルチャーを語る上では非常に重要な作家なので、周辺情報をもっと知りたいと感じた。

スティーブン・キングの全体像がよくわかっていない件

今回『IT』に興味を持って鑑賞しにいったのは、中高生の頃、スティーブン・キングを何冊か読んでいたからだった。通学で電車に乗っている時間が30分強あって、週刊漫画誌の発売日でない日はだいたい本を読んでいた。『リング』『らせん』『ループ』といった鈴木光司のJホラーとか、それ以前からハマっていた横溝正史の金田一耕助シリーズなど、もともとホラーやミステリーに興味があったのだが、中学生のときに国語の授業で読書感想文を書く際、教師が決めた作品リストのなかにキングの『呪われた町』があったのがきっかけだった。

『呪われた町』自体はキングの長編2作目で、そこまで面白い作品ではなかったのだが、そのあと映画化されている『スタンド・バイ・ミー』とか『グリーンマイル』あたりを読んでいった。その後も何冊か読んでいて、20代後半になってからも「また読みたいな」と思っていたのだが、ネットでの統一的な情報も、重厚な日本語の批評もなく困っていたところだった。ところが今回、『IT』の映画公開に合わせて、「ユリイカ」がスティーブン・キング特集号を出してくれている。ありがたく読ませていただきます。

ユリイカ 2017年11月号 特集=スティーヴン・キング ―ホラーの帝王―

それと、未読が多数あるせいで未完成も未完成で申し訳ないかぎりですが、読んだものだけ短評を書いておきます。キングに詳しい方いたら、ぜひいろいろ教えてください。

まず、『キャリー Carrie』 (1974年)★★★★☆キングのデビュー作。途中まではちょっと陰鬱なスクールカースト系青春ストーリーかな?と思ったらラストと後日談が怖い。あと母親と主人公の関係もなかなかホラーである。映画も面白い。

『呪われた町 Salem’s Lot』 (1975年)★★☆☆☆ ニューイングランドの街が吸血鬼によって崩壊していく話。上下巻と長いがいまいちかも……。

『シャイニング The Shining』(1977年)★★★☆☆ キューブリックによる映画が有名な作品だが、原作とはけっこう違う。

『デッド・ゾーン The Dead Zone』 (1979年)★★★☆☆ 超能力者の苦悩の話。『キャリー』も念力発火能力の話だが、キングの特徴として異能力ものが多いということもあると思う。2000年代にドラマ化もされていたようだ。

『恐怖の四季 Different Seasons』(1982年)★★★★★ 長編執筆に疲れたキングが息抜きにと、春夏秋冬をテーマに書いた中編小説群。あまりホラーではないので、邦題になぜ「恐怖」とついているのか不明。日本語の文庫では『ゴールデンボーイ』(春夏編)、『スタンド・バイ・ミー』(秋冬編)の二冊に分冊されている。

文庫『ゴールデンボーイ』に収録されているのが「刑務所のリタ・ヘイワース Rita Hayworth and Shawshank Redemption」で、タイトルが全然違うが、映画『ショーシャンクの空に』の原作。小説で読んでも感動的な作品。それと表題作『ゴールデンボーイ Apt Pupil』は、米国に隠れ住む元ナチスの将校との出会いをきっかけに深遠を覗いて堕ちてしまう少年の話。筆者はこの作品が一番好きかもしれない。もうひとつの文庫『スタンド・バイ・ミー』には言わずと知れた名作映画の原作が収録されているが、英語の原題が「死体(The Body)」というのがすごい。

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

『ミザリー Misery』(1987年)★★★☆☆ 熱狂的なおばちゃんファンに監禁される作家の話。代表作のひとつとされる。舞台設定はかなりミニマルなのだが、これで1冊の長編として書けてしまう力量がすごい。

『グリーンマイル The Green Mile』(1996年)★★★☆☆ これも有名な映画の原作だが、読んだはずなのに記憶が薄い。1930年代のアメリカのふわふわした世相の描写は印象として残っている。

『デスペレーション Desperation』(1996年)★★☆☆☆ 筆者がキングを読んでいた当時の最新作。今思うと、あまり面白くないような……。ゲームの『The Last Of Us』のような世界観だったことは覚えている。

実は代表作を全然読んでいない件

これ以外にキングの代表作と目されるのが、『ザ・スタンド The Stand』(1978年)、キングのライフワークとされる長編ファンタジー『ダーク・タワー』、そして今回の『IT-イット』(1986年)である。何で読んでないのかというと、『ザ・スタンド』が文庫5冊、『ダーク・タワー』が文庫7冊、『IT』が文庫4冊と大長編なんですよね……。『ザ・スタンド』はドラマ版が評判がいいためDVDを買ってあるが、まだ観れていない。で、『ダーク・タワー』と『IT』は1巻だけ買ってあって積んであるので、とりあえず『IT』を少しずつ読もうかと思っている。(しかし昔のように小説をじっくり読む時間が本当にないので、どうしたもんかなと思ってしまう。)

他にも、前期〜中期までだと『ファイアスターター Firestarter』 (1980年)、『アトランティスのこころ Hearts in Atlantis 』(1999年)あたりが評判がいいようだ。それと『霧』(1980年)という作品が、2007年に『ミスト』という映画になってヒットしていた。最近だと、ケネディ暗殺を扱った『11/22/63』 (2011年)が評判がいいみたいである。

Amazonのレビューなどをみるとどの作品も多数のレビューがついていて、日本でも読者が多いはずなのだが、現実にはキングに詳しい人にまだ一度も会ったことがない。もしいたらいろいろ教えてください……。

書き出してみて気づいたが、キングの作品は長いものが多い。かといってそれが映画化されて気楽に観れるかというと、映画の評判は必ずしもいいものではない。むしろ「映画化で失敗した」と評されるものが多いと思う。おそらく尺の問題で、2時間に収めるのは短編〜中編でないと難しいからだろう。ところが現在のマーベルユニバースの展開や、Netflixなどサブスクリプションサービス発のネットドラマの普及によって、きちんと予算をかけてクオリティを担保した長編作品を映像化ですることがOKな雰囲気が生まれている(今回の『IT』も二部作になる)。で、そうなったとき、原作として再び、「映画化するには長すぎる」ものだったキングの諸作品へのスポットライトが当たったのかもしれない。

それと、僕が10代のときにキング作品をいくつか読んで感じたのが、おそらくはアメリカの大衆社会の不安とか恐怖、それと表裏一体となったノスタルジーを書く作家であるということだ。そしてそういった感覚は、ハリウッドの大作などで表現されることがあまり多くないような気がする。キングの作品で読むアメリカと、ニュースやドキュメンタリー、ハリウッド映画で目にするアメリカにはけっこうズレがあると思うのだ。そのあたりのことをもっとよく知ることができたらいいなと思う。

あまりまとまりがないですが、今回はこのへんで。

(おわり)

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