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Notice: 関数 _load_textdomain_just_in_time が誤って呼び出されました。cocoon ドメインの翻訳の読み込みが早すぎました。これは通常、プラグインまたはテーマの一部のコードが早すぎるタイミングで実行されていることを示しています。翻訳は init アクション以降で読み込む必要があります。 詳しくは WordPress のデバッグをご覧ください。 (このメッセージはバージョン 6.7.0 で追加されました) in /home/yutoriotsu/www/wp2/wp-includes/functions.php on line 6114
『デューン Part2』超面白かったけど、黄禍論の影すら見えない「帝国」論は問題かも | にどね研究所

『デューン Part2』超面白かったけど、黄禍論の影すら見えない「帝国」論は問題かも

映画

『デューン Part2』を池袋グランドシネマサンシャインで観てきた。ただただ凄まじかった。

Part1は非常に良くできていたし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品もいくつか観てきており、Part2公開されたら観たいと思っていて、ちょうど今日池袋で取材があったのでついでにグランドシネマサンシャインで鑑賞した。ここのIMAXは凄いと聞いていたが、たしかに凄かった。ただ、サンシャイン近辺のソドムとゴモラ感は非常に高く、歩きながら「悪徳が支配する町…」と思った。アニメイトなどはオタク産業がオタクを搾取して出来たビルのように見えた。推しがどうのというのは恐ろしい。そろそろ民衆は目を覚ますべきだと思った。

中野 慧 on Instagram: "鹿児島、金沢、能登、福井というシンプルで健康的な町に行ったあと、今日は池袋に来たんですが「ここがソドムとゴモラか…」などと思いました。"
3 likes, 0 comments - yutorination on March 16, 2024: "鹿児島、金沢、能登、福井というシンプルで健康的な町に行ったあと、今日は池袋に来たんですが「�..."

あとは、池袋の東側はとにかく気が休まらない。アテンションエコノミーに支配されていて、街行く人々の脳内でずっとドーパミンが出ている様子が見えるようだった。基本的に池袋は南と西にしか用がないので、サンシャイン近辺はこんなにソドムとゴモラ感があるのか…と思った。

『デューン2』について、上映時間が3時間近くあるのだがテンポが早いので全然苦にならない。内容も、『スター・ウォーズ』や『風の谷のナウシカ』の原液的な作品なので、とにかく濃い。『ゲームオブスローンズ』にも近い、ギリシア悲劇的な壮大なストーリーが、美しい映像と轟音とともに豪華に展開される。ストーリーは後続作に比べユーモラスなところはほとんどなく、全般にわたってシリアスで、しかもスピリチュアル。SF的でありながら東洋的なヤバみが出ている。

というか、なんかそれらしい感想を書こうと思ったのだが特に出てこない。面白かった、満足、というだけ。批評的な視点が付け加えようがない。誰かと議論したいこともない。ただ単にスタンドアローンな作品である。SNS受けとかポリコレとかも特に気にしていないのだろう。ウクライナとかパレスチナの問題について何か言いたげなこともなさそうだし、「戦争は良くない」という素朴な反戦メッセージとかもない。空襲やバトルなども単に美しく描かれているだけである。坂口安吾が書いた「空襲って美しいよね」という感覚にも近いかもしれない。

おそらくこの作品のキモは、宗教的熱情の美しさとヤバさみたいなことなのだろう。純粋に美学的な作品というべきか。「とはいえ争いってよくないよね」という道徳的エクスキューズがない。人間ってヤバいし自然ってヤバいよねという感じ。良い意味でも悪い意味でもなく。

一点だけ気になるとしたら、これはポリコレ的な意味でのツッコミでも何でもないのだが、白人も黒人も中東系もインド系も出てくるが、東アジア要素がないことだ。観ながら思ったのが、「デューンは帝国を描いてるけど、人類史上最大の帝国を築いたのはモンゴルなんだよなぁ……」ということだった。この作品には帝国のヤバさ、戦争のヤバさはあっても、モンゴル帝国のヤバさ、東アジアのヤバさはないのである。その意味では20世紀前半に中国大陸を席巻していた大日本帝国は、終戦当時100万以上の兵力を大陸に展開していたので、それはそれでヤバいよなぁとも思った。ちょうどもうすぐ『オッペンハイマー』が公開される。原爆は、本土空襲は、人種差別的なジェノサイドだった。これは陰謀論でも何でもない。原爆投下を決定したトルーマンが強烈な黄色人種差別の感情を持っていたことは、歴史的に確定している。いわゆる黄禍論というやつだ。目を塞ぎたくなるような事実ではある。日本が悪かったから懲らしめられたと多くの日本人は思っているし、思いたがっている(いくら悪いとしても軍人軍属ではない民間人が何十万人も虐殺することは許されるはずがないのだが、許されている)。しかしそこには昏い差別感情があった。悲しいことである。『デューン』はよくできた作品ではあるが、そういう歴史的背景を押さえていると、オミットされていることがあることには注意しなければならないと思う。(了)

編集者、ライター。1986年生まれ。2010年からカルチャー誌「PLANETS」編集部、2018年からは株式会社LIGで広報・コンテンツ制作を担当、2021年からフリーランス。現在は「Tarzan」(マガジンハウス)をはじめ、雑誌、Webメディア、企業、NPO等で、ライティング・編集・PR企画に携わっています。
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