Podcast「フリーランスが学ぶ!企業社会の歩き方」の最新回を公開しました。
目下、話題沸騰の宮崎駿の新作『君たちはどう生きるか』。日本型教養主義の古典ともいわれる吉野源三郎の同名書籍(1937年刊)にインスパイアされたジブリ最新作ですが、「観に行かない」と決定している猛者もいます。今回は『君生き』をなぜ観に行かないのか、観に行く者はなぜ行くのか?を話してみました。
(2023.8.12追記)
この回では、「教養主義が良かった時代なんてない」「常に差異化、ファッションのツールとして使われてきた」という話をしていますが、これは『教養主義の没落』や『グロテスクな教養』といった教養主義の歴史に関する書籍を読むとよくわかります。こういう話を知るたびに「うげーーー」となるのです……。
「昔の教養主義は良かった」というのは、あとの時代からの見方にすぎないのかもしれません。最近の大学生は、昔の教養主義に対して「読書で人格形成というのがよくわからない」という感想を述べたりするそうです。これ、意味がわからない人もいるかと思います。
解説すると、これは要は「読書という一人の/内面の営みだけで、周囲の人と良好な関係性を築きながら人生を送っていく能力が身につくという考え方がピンとこない」と思っているわけです。それはそうですよね。教養=生きる力とすると、実体験よりも仮想的な体験で、しかも文字ベースの体験で、果たして生きる力が身につくのか? というと、正直かなり怪しい、彼らはそのことを直感的に感じているのだと思うのです。
読書=人格形成という考え方(教養主義)が文化を形成していた明治後期〜昭和末期ぐらいまでの感覚でしかない、そもそも紙の書物がこれだけ花開いているのは日本ぐらいのもので、現代の他の国ではWeb記事やYouTube、TikTok、もしくは本に近いけれどKindle、それとPodcastなどのデジタルデバイスを通じた情報のインプットのほうがはるかにメジャーであり、そういうメディア的/間接的な情報よりも直接的な体験のほうがよほど一人ひとりのためになる。こういう感覚が当たり前なのではないかと思います。
このゼロベースの現状認識を出発点にしないと教養論もクソもないよね、というのが僕が話している趣旨になります。
▼Podcast「フリーランスが学ぶ!企業社会の歩き方」とは?
小池、竹本、中野の20〜30代フリーランス編集者/ライター3名で、「この社会で働き生活する」ということについて、いろんなコンテンツや時事ネタなどをもとに考えていくというものです。
小池真幸 Twitter @masakik512 ブログ: https://masakik512.hatenablog.com/
竹本智志 Twitter @shidzupubl HP: https://shidzu-shoin.com/
中野慧 Twitter @yutorination HP: https://nidoneinstitute.com/
これまでのPodcastの一覧はこちらから。
コメント